ちーい ちーい ちゅるるるるる 岩場でメジロがさえずっています。
畑仕事の家族のために、ちよちゃんは沢へ水汲みに。 竹の水筒を持って、山深い道を行きます。 うっそうとした緑の中に、へびやカエル、虫、たくさんの生き物がいます。足下が不安定な場所もあります。 そして汗ばんできたころにたどり着いた小さな沢。澄んだ水が湧き出しています。 ごくごく ごくごく 冷たい沢の水を、直接顔にうけて飲むちよちゃん。 なんて気持ちが良さそうなんでしょう!
作者、飯野和好さんの生まれた自然豊かな埼玉県秩父郡長瀞町。 集落にはこんな沢があって、子どものころは沢登りで泥だらけになって遊び、ちよちゃんのようにごくごく岩清水を飲んでいたんだそうです。 飯野さんはあとがきの中で、沢の水を「暮らしの中の生きた水」と表現しています。 蛇口をひねればいくらでも出てくる水道水や、スーパーで買うペットボトルのミネラルウォーター、便利な水に囲まれた現代の生活の中で、遠のいてしまっている感覚です。
メジロも、犬のくろも、山の生き物たちも、里の人も、ごくごくごく。 ああ、水は美しいな、ありがたいな。 自然の恵みとしての水の姿を感じられる、清涼感あふれる絵本です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
里山うまれのちよちゃんは沢遊びが大好き。犬のくろと一緒においしい水をくみに沢にでかけます。新緑や沢の水、メジロやサワガニなど山の生き物を生き生きと描きます。山の恵みを受けて自然とともに暮らす家族の物語。
今は身近ではない沢の水。竹でできた水筒も、知らない子どもが多いでしょう。いえ、子どもだけではありません、人によっては知らない大人もいるでしょう。
古き良き日本が、自然と文化と共に、この絵本の中に閉じ込められています。
ダイナミックな絵から伝わる山の緑、メジロ、沢蟹、カエル。ちよちゃんのアップからは、自然を体で感じ、自然と共に生きる力強い姿がしっかりと描かれています。
文字数は少なく、絵もインパクトがあるので、2歳の子どもでも引き込まれていましたが、
この絵本が本当に伝えたいことが分かるようになるのは小学1年生位からでしょうね。
子どもが再び大きくなってから、また読もうと思います。それまでに、山の体験を、沢の体験を経験させてあげたいです。 (うさぎのタンタンさん 30代・ママ 男の子2歳)
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