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世界一周の航海中,南シナ海に入った帆船ヤマネコ号は,思わぬ事故で炎上,難をのがれた子どもたちとキャプテン・フリントは近くの陸地までたどりつきますが,そこは女海賊,ミス・リーが支配する島でした.留学経験をもち,流暢な英語を話すミス・リーが7人に望んだこととは…….シリーズで唯一,東洋の海を舞台にした物語.
下巻です。
女海賊の「ミス・リー」。
彼女にどういう過去があって、現在こういう人物(海賊たちの頭首)になり、この島の海賊たちをどんなふうに治めているか、ツバメ号やアマゾン号のクルーたちにもわかる女海賊の生きざまが、ものすごく丁寧に描かれていました。
ミス・リーは実はラテン語が特に好きな才女でしたので、彼女がほかの海賊たちから子どもたちを保護する代わりに提示した内容が、「ラテン語の学校(この子たちしかいないのですが)の生徒になること」!
当時のイギリスの子どもたちの授業選択というものが、どんなものかはよくわかりませんが、少なくともこのお話で「ラテン語」をちゃんと勉強していたのは末っ子のロジャだけでしたので、このクラスではロジャが優等生でした。ナンシーはラテン語が苦手みたいで、このクラスでは劣等生で( ´艸`)、こういう描写もなかなか面白かったです。
後、ランサムはできる限り、この島に生えている樹木や川の流れ、街の様子を描いてくれているので、この物語なりの中国南端にあるであろう『女海賊の島』の風景がとてもよく見えました。
また、悪役ではありましたが、頭首の座を狙っていたチャン頭領は自分の好きなことに抜け目がなくて、すごく正直に動いていたので、キャラクターとしてはかなり面白かったです。
物語も佳境も佳境、みんなで島から抜け出そうとしていて難関にぶつかった時の、ジョンのセリフがすごくいいんです。
「一度、お父さんがいったことがあるんだ。なにもできないときには、笑って耐えろ。しかし、可能性が一つでもあるなら、両手でそれをつかめって。」
これって、どんな人にも勇気に変える力になる言葉ではありませんか?
特に思春期を過ごしている中高生のお子さんたちには、友だちや家族に言えない悩みや大きな障害にぶち当たることもあると思います。
そんな時、この言葉が胸の内にあったら、その壁を乗り越えるきっかけになるのではないでしょうか?
女海賊「ミス・リー」の強い生き方や、最後の決断に拍手を送りたいです。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子16歳)
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