誰もが知る童話「シンデレラ」に、バーバラ・マクリントックの手による新たな絵本が加わりました!『ないしょのおともだち』や『たったひとつのねがいごと』など、クラシカルで愛らしい雰囲気が幅広い世代に人気のマクリントック。彼女の描く表情豊かで可憐なシンデレラが、おとぎ話の世界を軽やかにいきいきと動き回ります。
劇場の舞台装置のような画面構成が、まるでページをめくりながらお芝居を観ているような感覚。ワクワクしながら物語にひきこまれます。絵本に描かれる家の中の飾りや、家具、小物など、精緻に描き込まれた背景が見ているだけで楽しいのですが、舞踏会の場面の華やかさには、どんな女性もうっとりしてしまうことでしょう。集まったご婦人方の衣装はそれぞれ趣向が凝らされていて、ドレスはたくさんのリボンやフリルできらびやかに装飾され、大きく膨らませた髪も花や羽で飾られています。そんな中に、鮮やかな花のドレスを着て現れたシンデレラの美しさはため息が出るほど・・・!
豪華な服装や髪型は、ルイ14世時代のもの、また、舞踏会が開かれるお城は、ヴェルサイユ宮殿やパリ・オペラ座がモデルになっているそうです。裏表紙に、マクリントックがこの作品について影響をうけた作品、参考にした作品が記載されているのですが、フランスのロココ様式の画家たちのほか、コクトーの映画や、ベルギーの絵本「タンタンの冒険」シリーズもあげられているのが、興味深いですね。 もとになっているのはシャルル・ペロー版の「シンデレラ」。物語は、意地悪な姉たちも許されて改心するハッピーエンドとなっており、小さな子どもから大人まで楽しめる美しい絵本です。 多くの場面にさりげなく登場する灰色の猫は、マクリントックの愛猫「ピップ」がモデルなんだそう。各ページで探してみてくださいね。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
シンデレラは美しいむすめでしたが,いつもボロばかり着て働きどおし.そんなある日,お城で舞踏会が開かれることになり…….誰もが知る昔話が絵本になって登場.きらびやかな衣装に舞台のような画面構成など,人気作家マクリントックがその本領をいかんなく発揮した意欲作です.ゴールデン・カイト賞オナーブックに選出.
同じ作者の作品は、『ないしょのおともだち』や『シモンのおとしもの』など、大好きな絵本ばかりなので、その方が描いた「シンデレラ」のおはなしにとても興味がありました。
とても本格的な内容。ディズニーのアニメに親しんでいる娘たちにとっては、はじめは少し戸惑っていましたが、おはなしが進むにつれて、引き込まれたようでした。
表情豊かな美しい挿し絵で、大人が読んでも楽しめる内容だと思います。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子10歳、女の子7歳、男の子5歳)
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