屋久島で暮らし、実際の風景に想像をまじえた絵画を制作する画家、高田裕子さんの初めての絵本です。緻密で圧倒的に美しい絵、そこからは無数の命や時間を感じます。一滴の雫、広がる波紋、芽吹く植物、根をおおう苔たち・・・・・・目の前で「森」が生まれていきます。 ●著者からのコメント 屋久島の森では、 数千年を生きる屋久杉から足下を覆う無数の苔まで、 あらゆるいきものの存在を感じます。 そのなかに混じると、私という存在があまりにちっぽけで、 人生はあっという間なのだと思い知らされるようで、「生きよう」と強く思います。 数千年の、数十年の、数日の、限られた命を、ただ生きようと。 その命を、その美しい違いを、できるだけ丁寧に描きたいと願っています。
●編集者のおすすめポイント 屋久島で出合った写真のようなポストカード。その絵は緻密で繊細で、人間が見える以上の想像力を駆使した、観察力の鋭さが素晴らしいものでした。全体の中にささやかな部分ひとつひとつがあってこそ成立する、自然世界のこまやかさが、ふだんの私たちが捉えることのできる範囲を超えて、高田さんの絵には表現されています。完成した世界だけではなく、生まれる瞬間に立ちあいたい。そんな気持ちから生まれた絵本のなかで、ひとつの森が生まれました。一滴の雫からはじまり、100号サイズのキャンバスで、生まれてゆく森の一部や全体を撮影しながら、1日10時間の制作を4ヶ月続けて生まれた、渾身の一冊です。
一滴の滴から始まった生命の息吹。
長い長い時のうえに育まれた命は、様々な形で世界を創っていくのですね。
私は屋久島に行ったことがないのでこの絵本から想像することしかできませんが、生命力に溢れた島なのでしょうね。
こんなにも雄大で神秘な島で過ごしたら、抱き続けてきた悩みや悲しみなんて、ちっぽけなことのように思えてくるのかもしれません。
この絵本に出会うことができて、幸せです。
より多くの人に読んでもらいたい絵本です。 (めむたんさん 40代・ママ 男の子20歳)
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