ふらっとやってきた、キジトラのめす猫。 にゃーこちゃんとの生活が あたりまえになったころ、ふらっと にゃーこちゃんは出ていった…。 にゃーこちゃんと飼い主との ちょっと切ないおはなし。
明け方まだ間違いなく眠たいだろう飼い主にはおかまいなく、お腹がすいたと枕元で喉をゴロゴロ、顔をぺろぺろ。構いたいときにはつれないくせに、ふいに気づくとぴたっと寄り添っているくらいのマイペースさが猫というもの。
顔はなかなか器量よしでもお腹のたるみが難ありのにゃーこちゃん。猫たるや猫らしくその気侭な素振りが心惹かれます。食べて、寝て、ひとりで遊ぶ。気侭なにゃーこちゃんが年老い、確固たる足どりで去りゆくまで。
朱色と藍色の濃淡という限られた色数で塗られた絵は、描かれすぎることがなく、淡々と過ぎゆく猫時間の独特な雰囲気を助長している気もする。
静かな中ににやっとほくそ笑み、愛しさから放出されるドーパミン。それなのに読み終えた後は詩を味わったように穏やかな余韻のある絵本。 (木々文庫さん 30代・その他の方 )
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