グリーンのベレー帽がトレードマークのオバケさん。 オバケさんは、「オバ ケンイチロウ」という名前からオバケというあだ名で呼ばれているだけの、れっきとした人間。 そして彼は、町の有名な料理研究家でもあります。
あるとき、テンテル山にある古い洋館が売りに出されているのを知ったオバケさんは、広いキッチンに惹かれてそこに越すことにしました。 緑色の屋根を見て、オバケさんは大喜び! 「ぼくと、おそろいだぞ!」 その屋敷をすっかり気に入ってしまいました。 ところがそこには、とある不思議な秘密が隠されていたのです。
みどころは、オバケさんの作る料理と洋館の描写!
森にたたずむ広い洋館の様子がとてもていねいに記されていて、新しく始まる日常への期待や、屋敷に隠された秘密へのわくわくにリアリティを持たせており、ぐいぐいと物語世界に引き込まれていきます。 また、オバケさんの作る料理はシンプルで親しみやすく、加えてその描かれ方も詳細なので、味をイメージしやすいものばかり。 その臨場感はあたかも香りも感じられるかのようで、気づけばオバケさんやその仲間たちと食卓を囲んでいるような気分になってしまいます。
ところで、お化けと聞くとユーレイを想像する方も多いと思いますが、この作品におけるお化けとは字のごとく、「化けるもの」のこと。 登場するキャラクターは、とある理由で「人に化ける力」を持ったものたちです。 そんなアイデアだけでも奇抜なのに、その思いもよらない正体と相まって彼らは強烈に個性的! 特に、表紙にいる謎の白いもこもこ……。 いかにも「お化けでござい」という彼の正体には、その妙な説得力にくすりとさせられますよ。
まだまだ、ひと騒動もふた騒動もありそうな予感をはらんだ、はじまりの物語。 オバケさんとその仲間たちがこれからどんな日常を送るのか、とても楽しみになるオススメの一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
オバケさんは、オバケではありません。 名前が尾羽健一郎、だからみんなからオバケさんと呼ばれています。オバケさんは、有名な料理研究家なのです。 オバケさんは、スギナ屋敷という山の中の古い一軒家に引っ越しをしました。でも、オバケさんは知りませんでした。その家がオバケ屋敷だってことを…。 オバケさんがスギナ屋敷で出会ったのは、タヌキが化けた女の子のタヌダちゃんとシフォンケーキのオバケ、シフォンくん。二人はオバケさんを本当のオバケだと思い、お互いに仲良くなったのですが、正体のわからない屋敷守オバケが現れ、オバケさんを追い出そうといやがらせを始めました。さあ、オバケさん、どうするの?!
化けたタヌキの女の子は、人間のオバケさん(尾羽健太郎)のことを本物のオバケだと思い込みます。
オバケさん本人が、オバケではなく人間だと伝えようとしても誤解がとけず苦笑してしまいました。
屋敷お化けの嫌がらせで一晩中ひどい目にあっても、翌朝には「とにかく朝ごはんを作ろう。」と頑張るオバケさんはすごいです。
引っ越し祝いのパーティーもお料理がたくさん並んで、とても楽しそうでした。 (みいのさん 60代・その他の方 )
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