
阿蘇山を水源として持ち、九州では最大の河川として知られている「筑後川」。 そんな筑後川流域(筑後地方)に伝わる民話を現代に残すべく、一冊の本に。
その河川の長さから、「河童」に関するお話でも、上流、中流、下流と場所によって語り継がれてきた内容が違う。 また、本書に登場する民話は全部で23 話。鯰、タコ、揚巻貝、胡瓜など、 筑後川に関する「食」を中心に集録し、筑後地方に伝わる方言もふんだんに使用。 その民話が生まれた経緯、現代まで語り継がれてきた理由などの解説付き。
筑後川流域の民話は「身体を育てる『食べ物』」と、「心を育てる『仏教の教え』」のバランスで成り立っており、こうした生きていくうえで欠かせない二つによって民話が生まれ、語り継がれてきた。
【「はじめに」から】 本書では数ある民話のなかから、筑後川流域に伝わる――それも「食」と関わりのある民話を集めました。
「食は幸福の基本」です。
料理を作ることは、食べる人への思いやりや想像力を養います。 そして、食べる人も料理人の想像力に心を動かされ、感謝の気持ちが湧いてきます。 こうして「食」を通してお互いへの思いやりが育まれるのです。
筑後川流域の民話は、縦軸と横軸のバランスのもとで成り立っています。 縦軸には身体を育てる「食べ物」があり、横軸には心を育てる「仏教の教え」があります。 民話はこの二つと深くつながっているのです。 それもそのはずで、食べることは生きることや感動に繋がり、 生きることや感動は幸せに繋がり、幸せを伝えようとして生まれたものが民話なのですから。
本日はおいしい民話をご用意して、あなたをお待ちしておりました。 どうぞごゆっくりお召し上がりくださいませ。
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