中学三年生の悠人は、高校受験を控えている。優秀な兄・直人や、家族を置いて家を出ていった父親、悠人でなく直人に大きな期待をかける母親、といった家族のなかで、自分の存在意義を見出せない悠人は、日課にしていたランニングの途中、公園のブランコに座る少女・朱音と出会う。どこか影のある表情の朱音に、次第に惹かれていく悠人。朱音が、病気の母親の介護や幼い妹の世話、家事をひとりで背負う“ヤングケアラー”であることを知った悠人は、彼女の力になりたいと考えるようになるが……
母親の介護に携わる“ヤングケアラー”の少女・朱音に恋をした中学生・悠人の物語を通して、「誰かを大切に思うこと、社会へ目をむける機会」を読者に提供する児童文学です。
私はケアマネジャーをさせて頂いています。それだけにヤングケアラーを扱ったこの本はひじょうに関心がありました。これは何よりもとても心地よく、奥深いお話です。この本は中学生の恋の物語ですが、ヤングケアラーを扱っていることから共感できるところがいっぱいありました。また繰り返し読みたくなる本です。 (水口栄一さん 60代・その他の方 )
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