「さるのおしりはぬらしても、じぞうのしりはぬらすなよ」
大好きなお餅をたらふく食べて眠ってしまったおじいさん。それを地蔵とまちがえたおさるたち、川向こうのお堂へおまつりしようと、はやしうたをうたいながらおじいさんをかかえて川を渡っていき・・・。山形の言葉で語られる、ゆかいな昔ばなし絵本。
このお話を読んだのは小学生の頃。
けっこうな厚さの昔話集の中に収められていて
カット程度の挿絵があるだけで。
それでも
♪さるのおしりはぬらしても じぞうのおしりはぬらすなよ♪は
囃子言葉のようなリズムで頭の中で広がって残り
私を愉快な気分にさせたのでした。
そうして今、こんなに楽しい絵で読めるなんて!
あの『かえるをのんだととさん』の斎藤隆夫さん
昔話にぴったりです。
おじいさんのなんと人のよさそうなこと!
さるたちは好奇心丸出しの表情。
神妙な顔で拝んでいたり
手に手に供える花を持っていたり
なかなか信心深そう。
だから、となりのじさまを川に放り込んだのも
怒ったというよりびっくりしたんでしょう?きっと。
はやしうたがおかしくて吹き出してしまったとなりのじさまも
よくある「となりの欲張りじいさん」とはちょっとちがって
憎めません。
あの昔話集を読んだ子供の頃を懐かしみながら
味のある絵にページの中、新鮮な風が吹きました。 (白井音子さん 60代・その他の方 )
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