ヘルマンは、だるまさんみたいにコロコロした、くろいぶた。のんびりばちゃばちゃできる、どろのおふろが大好きです。周りのにわとりたちが何かと1番を争っていることにうんざりしたヘルマンは、最高なのは自分だと見せてあげようと思いつきます。
早く走れるところを見せようと、走り出したヘルマン。すると、にわとりたちとの競争が始まりました。周りでは「がんばれヘルマン!がんばれヘルマン!」の大合唱。がんばって走り続け、山を超えて遠くの海まで来ましたが、ふと我にかえり足を止めます。
ヘルマンの活躍をのびやかに描くのは、オランダの人気作家イヴォンヌ・ヤハテンベルフさん。『とくべつないちにち』でデビューして以来、「アルノ」「バロチェ」のシリーズや『ちいさなかいじゅうモッタ』など、多くの絵本を手がけています。
望んでもいないのに競争に巻き込まれることは、大人にもあります。うっかり自分に合わないことをすることもあるでしょう。でもヘルマンのように、自分が心地よいと思える場所を見つけることができたら最高ですね。子どもも大人もみんなで楽しめる作品です。ぜひ自分らしくいる幸せを、ヘルマンと一緒に感じてみてくださいね。
(出合聡美 絵本ナビライター)
勝つことって、そんなに大事?
子どもがもっとも幸せな国、オランダから 自分らしくいられることの幸せを親子で楽しめる絵本がやってきました。
ヘルマンは、どろんこのなかで まいにち のんびり くらして います。
でも、めんどりや おんどりが あたしが いちばん、おれって さいこう、と まいにち うるさく いいあらそって いるので もう うんざりでした。
それで あるひ……。
だるまさんみたいに ころころした、くろいぶた、 ヘルマンの おはなしです。
「何度もくり返し読み聞かせをねだられる本であり、大人の読者を非常に心地よい気持ちにさせる本でもある」(2020年「金の絵筆賞」審査団)
「たとえ競争に放りこまれても、“とにかくぼくがいちばん!”と、自分自身をそのままのんきに受け止める。そんなヘルマンは、私の頼もしい友だちです」(訳者)
オランダを代表する絵本作家、ヤハテンベルフの2020年オランダ「金の絵筆賞」受賞作。
クロブタにもニワトリたちにも、自分が一番と言えるものがあるようです。
競って一番になるものと、自分で一番と思えるものを持っていることと、それぞれの認識のズレが面白く感じました。
一番だということを証明するために競走で頑張ったクロブタくんですが、本当に自分が一番好きなものを見つけられて良かったですね。
お疲れ様。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
|