洗濯されて干されたままケンカしているのは、赤いてぶくろの右手と左手。
「ぼくのほうが えらいんだ」 「そうやって いばるのは やめて」
持ち主のゆうちゃんが右ききだから、自分の方がえらくて立派なのだというのが、右手の主張。と、その時。強い風が吹いてきて、右手は遠くに飛ばされてしまいます。落ちた目の前にいたのはたくさんのメンドリたち。彼女たちは、一羽の若いメンドリを叱っています。
「メンドリは 大声で 鳴いては いけないのです」 「りっぱな トサカの オンドリだけが 鳴けるのです」
それならばと、その若いメンドリは右手を拾い上げ、頭にスポンとかぶり言います。
「これで、鳴いてもいいんでしょ」
鳴かずにはいられないというメンドリの話を聞き、はりきってトサカの代わりになっていたてぶくろなのですが……。
子どもたちが成長していく中で、誰にでもやってくる心の中の葛藤。その思い込みや悩みはそれぞれ違っていたとしても、様々な出会いと経験の中で、自分らしい道を見つけていくのでしょう。どうしても自由に鳴きたいメンドリと、いつも自分の方が立派なのだと主張してきたてぶくろ。この偶然の出会いも、ふたりの未来を大きく変えていくのです。
それでは、読んだあなたはどんなことを感じるのでしょう。みんなの感想が聞いてみたくなる1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
※毎日小学生新聞「作家に聞く」著者インタビュー(安東みきえ氏。2021.11.27) ※月刊MOE「注目の作家」著者インタビュー(安東みきえ氏。2022年2月号)
洗濯されて庭に干されていた赤いてぶくろ。右手と左手がケンカをしています。もち主のゆうちゃんが右ききだから、自分のほうがえらくて立派なんだ、と右手はいばっています。――と、風が吹いて、右手は遠くに飛ばされてしまいました。そこで出会ったのが、若いメンドリ。オンドリのように「コケコッコー」と朝を告げたいという夢があるのですが、トサカがないメンドリは、鳴くことができません。「よし、りっぱな トサカになってやろう!」。赤いてぶくろは、はりきってメンドリのトサカ代わりになりますが――。
「自分のままじゃ、いけないの?」と悩むメンドリと、「立派って、なんだろう?」と考えるようになる赤いてぶくろ。 冬の日の偶然の出会いが、ふたりの未来を大きく変えます。
\\おとなからも、感動の声が続々!// ・子どもたちの顔が浮かびました。自分には、考えて決定する力がしっかり備わっていることに気づいてほしい。自分の中にある光に焦点をあてて歩んでほしいなと胸が熱くなりました(教員) ・ぐっときて泣いてしまいました。母にもすすめてみたところ「なんでだろう、なんか泣けちゃうね」と言っていました(司書) ・途中から、声を出して読んでいました。メンドリと赤いてぶくろのやりとりが胸に響き渡り、涙が流れました(絵本セラピスト)
書店の新刊コーナーで見つけました。
持ち主が右利きだから、左手よりも自分の方が偉いと思っているてぶくろ。風に飛ばされて、おんどりになりたいメンドリの頭の上に乗ることになります。
てぶくろを頭に乗せるメンドリの姿は、なんともユーモラス。ギャグっぽいお話なのかと思ったら、思わぬ方向へお話が進みます。
思わぬところで大事なことに気づかされるてぶくろとメンドリ。他と比べたり、立派じゃなければと思うことは、必要ないんですね。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子17歳、女の子14歳、男の子12歳)
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