ある春の日、ぼんさいじいさまが自慢の盆栽を眺めていると、しだれ桜の盆栽の中にひいらぎの冠をかぶった小さな少年が現れました。少年はじいさまに、今日がその日だと告げ、じいさまは今日が最後の日であることを悟ります。じいさまの周りに、庭中からこれまで慈しみ親しんできた沢山の生き物たちが集まってきました。じいさまは皆に見送られ、ひいらぎ少年に手をひかれて、心穏やかに旅立つのでした。大地と命を描き素晴らしい作品を残した故・木葉井悦子の傑作絵本、待望の復刊です。
復刊で再読して、しみじみとしてきました。
盆栽を愛し、生きものを愛したお爺さんの、静かな旅立ちです。
春という気候も良いのですが、全てのものに別れを告げて、安らかに死んでいけたら、こんなに見事な引き際はないような気がしました。
盆栽という、丹精した多くの鉢にもうこだわりはありません。
自分を迎えに来た小さな少年に連れられて、お爺さんは住み慣れた家を後にします。
あとに残る者たちは、自然のままです。
老境をこのようにとらえられたら、心も穏やかになってきますね。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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