難民少年が見つけた幸せとは?
もうだめだ。 刻一刻とボートは海に沈んでいく。 ひとり、またひとりと、ボートから海に投げ出されて、 まもなく自分の番が来る。
―――海に投げ出された難民少年オマールが、目をさましてみると そこは、ガリバーが流れついた小人の国リリパット国でした。
リリパット国の住人は、少年をガリバーの息子と思い歓待します。時間が経つにつれ、少年オマールはリリパット国で、友情をはぐくみます。 一方で、オマールは、離ればなれになってしまった家族が恋しく、毎晩、夜空に浮かぶ星を見ながら、お母さんに話しかけていました。
少年オマールは、このままリリパット国で、平和に暮らすことができるのでしょうか? お母さんとは再会できるのでしょうか・・・。
【編集担当からのおすすめ情報】 戦争を描いてきたモーパーゴの新作。 今回も、難民問題や、平和についてが、物語の根底にテーマとして流れています。 しかし、「少年が流れ付いた島は小人の国リリパットだった」という設定で、ユーモラスかつユニークに描かれた冒険物語です。
遭難して海に投げ出された難民の少年が、小人の国に漂着して、ガリバーの息子と呼ばれるようになりました。
現代社会の中で、ガリバー旅行記を描こうとしていますが、パロディではなく、リメイクでもなく、少年を主人公としたエンタメの面白い作品だと思いました。
物語中に出てくる「ガリバー旅行記」の、2つの国の対立の発端には違和感があるのですが、戦争の火種は瑣末なことでしかないという、モーパーゴなりの平和志向から来ているのでしょうか。
今起きている戦争に対する痛烈なアイロニーとして受取りました。
難民問題も根底に置いた作品です。
意味深な小人ザヤとナトバンのラストシーンが、読後の余韻の中で残りました。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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