ガスパールは夜になると、ちょっぴりこわがりになります。みんなが眠っているあいだも、ガスパールは眠ることができません。心の中でどんなに素敵な冒険に出ても、終わりがきます。その後、考えてしまうのです。なくしもののこと、「ずっと」の向こう側にあるもののこと、夜にひそんでいるおばけのこと。
「なにか、きこえた?」
ガスパールは、くらやみがこわいのです。そんな時、彼は思います。ぼくに、夜だけのともだちがいてくれればいいのに。そのとき。
「わたしをよんだ?」
ベッドの下の扉からあらわれたのは、小さなネズミ。ネズミは、驚いているガスパールを家の中のあらゆる部屋につれていき、夜のともだちに会わせてくれます。それぞれに悩みをかかえていた彼らとガスパールは、すぐに仲良くなっていき、楽しい時間を過ごします。やがて……。
誰かに相談するほどではないけれど、泣いてしまうほどでもないけれど。でもやっぱり、夜はちょっとこわくて苦手。そんな悩みをかかえている子どもたちにぴったりな絵本が届きました。眠れない夜の世界は心細いけれど、こんな風に自分だけの友だちが待っていたとしたら、ちょっとだけ夜が待ち遠しくなるかもしれない。
想像力豊かな子どもたちの頭の中の、そのほんの少し先の世界を、彩り豊かに、美しく、愛らしく、そして楽しげに描いてくれるこの絵本。うっとり眺めるために、あるいは小さな友だちに会うために。枕もとにおいておきたくなる1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
真っ暗になった夜。男の子は急に不安に駆られます。物陰に人が潜んでいるのではないか、何か物音かしたかも……そんな不安に押しつぶされそうになった時、小さなネズミが現れて男の子に声をかけます。男の子と小さなネズミは、家の中のあらゆる部屋を訪れて、その先で悩みを抱えた登場人物たちと出会い、彼らと一緒になってその悩みについて乗り越えていくことに。
夜がちょっと怖くて、不安だった寂しがりやのガスパールを、ねずみさんが素敵な世界に誘ってくれました。
ページを開くたびに新しいお友だちや、素敵なことが待っていて、とても楽しい気持ちにさせてくれる絵本です。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
|