あなたの人生を変える魔法の靴店!
高いビルの間にちょこんとはさまっている小さな建物。 くすんだ色のレンガ造りのこの店は、築100年のオーダーメイド靴店「往来堂」だ。 店主は、靴職人の祖父。孫の夏希は、シューズデザイナーを夢見る中学生で祖父を尊敬していた。
ある日、店の後を継ぐはずの兄が突然いなくなり、店は危機的状況となった。 夏希は後を継ぐべきか悩める日々を過ごす。
そんな中、この店の土地を買い取りたいという土地開発会社の人たちが来た。祖父は、その内の1人の靴をみて足に合っていない靴を履いていると指摘する。その人は、どんな靴も合わないのであきらめていると話した。祖父が助言すると、その人は靴を注文することになった。 でき上がった靴を渡してまもなく、その人が来店して言った。 「まさか自分の人生が、たった一足の靴で変わるとは思いませんでした……」
これらのいきさつを見ていた夏希は、自分の向かう道をさだめていく。 シューズデザイナーを夢見る中学生をさわやかに描いた青春ドラマ!
靴がどのように作られていくか、そこで働く職人の技術とはどんなものか。
中学生の主人公の目線を通して、そういった「職業訓練」的な要素も垣間見れる点が良い。
たくさんの職業の中から、自分がどんな仕事を選ぶのか、中学生の段階ではまだまだ見えない人がほとんどなはず。
その前段階として、どのように生きたいかという軸足を模索する世代に、とても合っていると思う。
仕事小説というだけでなく、友人関係も発展していく様も、良い。 (だっこらっこさん 40代・せんせい 女の子9歳)
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