虫好きの、虫好きによる、虫好きのための本、ファーブル昆虫記! 100年以上経っても魅力のあせないシリーズから、ファーブルを愛してやまない著者らが名場面をよりぬき!
抱えきれないほどのプレゼントをもらったような調子で語られる、昆虫観察の天国『アルマス』の様子。おおきな設備や道具を使わず、アイデアと工夫によっておこなわれる実験と観察。そこから得られる目を見張るような発見の数々。
読者にやさしく話しかけるような文章で、生き生きとした虫たちの様子と、あふれんばかりのファーブルの好奇心がつづられています。 イラストが切り絵で描かれていることで、虫たちのシルエットは写実的ではあるものの、その質感までは伝わってきません。虫が苦手という人でも、怖さを感じにくくなっています。
著者はNPO日本アンリ・ファーブル会理事長であり、ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」館長も務める奥本大三郎さん。そして、自然と人との関わりを写真におさめつづけてきた写真家であり、切り絵作家としても活躍している今森光彦さん。 ファーブルと同じく虫を愛し、そしてファーブルその人を愛する二人の著者が選ぶ名場面は、まさしくファーブル昆虫記の魅力が凝縮されたセレクションです。
とくにみどころなのは、虫たちの本能に関する発見!
卵の袋をおしりの先にくっつけて守る、ナルボンヌコモリグモ。その母グモから卵の袋を取りあげ、代わりにコルクの玉や綿などを与えてやると、それをおしりにくっつけて懸命に守ろうとします。 マツノキョウレツケムシは、前の毛虫がはいた糸をたどって、一列に行進する習性があります。その列を円形にしてやると、全員が前をゆく毛虫の後ろについて進み、なにも食べずに七日間もぐるぐると行進しつづけたといいます。
「虫は本能で決められた行動を、とちゅうで変えることができないらしい。最後まで手順どおりにやらずにはいられないらしい」
ファーブルの虫に対する愛と好奇心が、ファーブルを愛する著者らによって、みずみずしくよみがえる! 昆虫記をまだ読んだことがないという人にはもちろん、読んだことがある人にもおすすめ! あたらしい視点から、ファーブルと虫との関わりを見つめなおすことのできる作品になっています。
(堀井拓馬 小説家)
『ファーブル昆虫記』は、出版されて100年以上たった今でも、世界中の虫好きの人たちから愛されている名著です。子どもの頃からこの本に魅せられ、ファーブルの生家や、実際に虫を観察した土地までたずねた2人の著者が、全10巻の中から選んだ名場面を、迫力のある切り絵と親しみやすい文章で紹介します。巻末では、登場する昆虫とファーブルの生涯を解説。 「えものを狩るハチ・コブツチスガリ」「麻酔の名手・アラメジガバチ」「植物を見分ける本能・オオモンシロチョウ」「夜の舞踏会・オオクジャクヤママユ」「おわりのない行進・マツノギョウレツケムシ」「すぐれた建築家・トックリバチ」「右ききの演奏家・イナカコオロギ」など16の名場面を紹介した絶好の入門書。
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