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フランシスは、雪の街角に立つオルガン弾きとおさるさんが気になってしかたありません・・・。あたたかで美しいクリスマス物語。
まずは重厚な絵に感銘を受けました。
一昔前の街並みのスモークがかった幻想的なイメージ。
その中で、登場人物が生き生きと描かれています。
少女の澄んだ目と豊かな表情が、スクリーンの中の実写風景のように思えました。
お話も素晴らしい。
雪降る街角で手回しオルガンを弾きながら小銭を得ているおじいさん。
「あのひとたちはどこに眠るの?」
少女の無垢な疑問に、母親の他人事のような答え。
母親は、子どもが演芸会で天使を演じることに頭がいっぱいなのです。
少女はオルガン引きのおじいさんが気になってしょうがないのです。
おじいさんは、雪の中、街角で夜を明かしていたのです。
おじいさんは神の象徴でしょうか。
演芸会に出かける少女は、おじいさんにわずかばかりのお金を恵みとして渡します。
演芸会では、舞台に立つ少女が、セリフを出せないままに固まってしまっています。
おじいさんが突然後ろの扉を開けて現われました。
そして出てきたセリフは、「うれしいおしらせです。よろこびをおとどけします。」「今、喜びをお届けします」。
澄んではっきりと大きな声で。
お芝居の後で、おじいさんも一緒になったパーティの光景は、描かれている人々の表情を見ていて飽きません。
心に響く絵本でした。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子15歳)
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