画面いっぱい、生き生きと豊かに存在している草や木。目のさめるような鮮やかさで生い茂る葉っぱ。そして、誰もかれもがため息をつくような美しさで咲きほこる花。それらすべてに対して、詩人まど・みちおさんがなげかける言葉は「よかったなあ」……。
ぼくらのまわりにいてくれて。みんな違っていてくれて。どんなところにもいてくれて。鳥や動物や人、何が訪ねるのをでも動かないで待っていてくれて。
それらまどさんの発する言葉ひとつひとつと響きあい、あたりまえのようにそこに「ある」自然や動物たちをまぶしいくらいに輝かせてくれているのは、日本とアラスカを行き来しながら作品を制作している画家あずみ虫さんの絵。大胆ながら愛くるしさを感じるシルエット、筆の勢いを感じる瑞々しい絵の具の色、アルミ板を使った立体感のある独特な技法は一度見たら忘れられないほど魅力的なのです。
没後10年を記念して刊行が続く「まど・みちおの絵本」シリーズの一冊として誕生したこの絵本。絵本を閉じてもまだ浮かんでくるのは、愛おしさとかけがえのなさに満ち溢れる世界と「よかったなあ」の言葉の響き。その余韻をまどさんからの贈りものとして受け取っていこうと思うのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
葉っぱや、花、草や木や動物たち。そこに「ある」ことや、そこに「いる」のがあたりまえだと思っている……そんなものたち。――それらすべてに「よかったなあ」という言葉をなげかける詩人まど・みちお。あずみ虫の絵が、その言葉のひとつひとつと響き合う。没後10年を記念して刊行が続く「まど・みちおの絵本」シリーズの一冊。
タイトル通り「よかったなぁ」という気持ちが込み上げてきました。
なにげないもの、普段意識しないものにも
心や目を向けてみると
こんなにも清らかな気持ちになるものなのですね。
そんな気持ちを呼び起こしてくれる
まどみちおさんの文章と
あずみ虫さの、アルミカッティング技法の絵。
当たり前が当たり前でなかったコロナ期間を経た今だからこそ、
ひときわ、心にしみるような気がします。
(やこちんさん 50代・ママ 女の子20歳)
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