
「基本」をしっかり覚えた子どもは、それを活用し、自分の力で伸びていく(監修者のエルベテーク代表・河野俊一氏に訊く特徴と活用ポイント)
Q 時計や形の学習をスムーズに進めるには? A 最初、子どもたちは「5、10、15、20……」と数えながら分を読み始めますが、「8」を見て「40ぷん」などと5とびの数で答えられるようになると、「13ぷん」「27ふん」などの分の読みもスムーズになります。 つまり、数字を見て何分かをすぐに答えられるように教えるのが重要なポイントだと思います。それができれば、短い針が指す時間も「1と2の間は1時」というシンプルな教え方で身につけていくことができるのです。 Q では、形の学習のポイントは? A 形の学習では、細かな違いに気がつき、それを言葉で説明できる力の獲得をめざしています。そのためには、正確な言葉を使うことが大切です。このドリルでは、「まる」「しかく」「さんかく」など、小学校1年生の1学期で使う言葉でなく、「えん」「せいほうけい」「ちょうほうけい」「にとうへんさんかくけい」「せいさんかくけい」を使っています。正確な言葉を身につけさせながら相手に伝える手段を導きます。 Q 表紙がユニークですね。「夜の12時」はほとんどの大人が知らないと思いますが……。 A これは実際に私たちの教室であった出来事です。教室では、3歳児、4歳児向けの最初の時計学習の際、模型を使いながら「長い針と短い針が12で重なると12時ですよ」と針をセットすることから教えています。 そして、幼児に「正午」を教えるための打ち合わせをした際、「子どもが『では、夜の12時はなんて言うんですか?』ときっと質問してくるはず」とスタッフみんなに伝え、準備していました。すると、授業でほんとうに一人の子どもが「じゃ、夜の12時はなんて言うの?」と訊いてきたんです。好奇心を言葉にして伝えてきたんですね。子どもの学習ではそんなところが面白い。教える側が子どもの行動を予想するのも面白い。 その後、その「正午」「正子」という言葉を使って子ども同士で遊んでいたほどです。子どもたちは新しい言葉や発見をとても喜びますから。 Q シリーズ全4巻がすべて刊行されたことになります。全体のコンセプトについて。 A きちんとした学び方をしてほしい、「丁寧に書き丁寧に仕上げていく、周りの大人や手本から学ぶことはどういうことなのか」を体験してほしい、それがこのシリーズの一番のコンセプトです。
■(本書より)「時刻を知るだけでなく、日常の生活の中に約束があることを知る、そしてその約束の時間を利用し、自分の行動をコントロールして生活を組み立てて いく……それが時計の学習の本当の目的です。」「円・三角形・正方形・長方形・台形など、さまざまな形を認識し、思い出しながら描く練習は、数字や文字の学習にも役立ちます。「まる」「さんかく」......ではなく、「円」「三角形」......という正しい名前も一緒に覚えていきましょう。」
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