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もう、こんな家にいてやるもんかと飛び出したこうじ、でも行くところもなく家のそばに放ってあった箱に隠れるが……。「箱の中」他、「のんきな父さん」「八年という時間」「キンモクセイおばあちゃん」「にえもんさん」の子どもと老人との関わりをテーマに心をうつお話5編を収載。
「長い道のりを 歩いてきたお年寄りは 人生のバトンを きみたちに渡して 去っていくのだ。 生きる喜び、悲しみ 身につけた知恵 そして 人へのやさしさにみちた バトンを。」
この本の冒頭に書かれたこの詩がたまらなく好きです。
そして、5つの物語に通じている子どもたちへのメッセージを見事にまとめていると思います。
5つの物語は、すべて死と結びついています。それでいて心和むお話ばかりです。
携帯電話をほしいと駄々をこねて、家でまがいの隠れん坊をしたこうじ君とおじいちゃんのお話。
おばあちゃんのへそくりを使い込んでしまったおじいちゃんが、シュン君をてなづけようとして、8歳の孫の成長を痛感するお話。
それからそれから、きんもくせいのおばあちゃん。にえもんおじいちゃん。
みんなとても人情味あって…。
最後はお父さんのお話だけど、お父さんが亡くなってから知ったお父さんの偉大さ。
あまり書くといけないのかもしれませんが、全部の物語が読んでくれる子どもたちにバトンを渡そうとしています。
命と心のバトン。一番感受性豊かに受け止めてくれるのは高学年から中学生のような気がします。
顔には出さず、心で受け止めてくれる子どもたち。
押し付けるのはやめましょう。
年末に最高の本に出会いました。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子12歳)
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