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無実の罪で,懲役10年の刑を受けることになったN氏。ところが刑を下したはずの裁判官から思ってもみない提案が…。10編の短編集。

『星新一ちょっと長めのショートショート10』(理論社)。
表題作である「七人の犯罪者」をはじめとして、10篇の「ちょっと長めのショートショート」が収められた、児童書。
装幀・挿絵(それぞれの作品に挿絵がついています)は、和田誠さん。
『ショートショートセレクション』シリーズの場合、ひとつのお話に一枚の和田誠さんの挿絵でしたが、このシリーズでは2枚あったりして、こちらも「ちょっと多め」。
最近運転免許がマイナンバーカードに登録ができるようになったという。
すでに健康保険証も登録されていて、一枚のカードに多くの個人情報が収められることになった。ゆくゆくはカードではなく、スマホにでもなるのかも。
そんな夢みたいなことが2025年の日本の状況であるが、まるでそんなことを予言していたようなちょっと長めのショートショートがこの本に収められている。
タイトルは「確認」。
冒頭の文章はこうだ。
「ある装置が開発された。個人識別機とでも称すべきもの。つまり、その人物が当人であり、他の何者でもないことを証明してくれる装置なのだ。」
どこから見ても、これは現在のマイナンバーカード。
作品が書かれたのが、1970年代はじめというから、その発想がやはりすごい。
そして、この作品の展開は、この識別機をつくった会社の技術者の多くが事故で亡くなったために、メンテナンスがうまくいかなくなり、当人であることの識別ができなくなるというもの。
もしかしたら、マイナンバーカードだって、そうならないとも限らない、かも。
星新一さんの先見力に脱帽。 (夏の雨さん 70代以上・パパ )
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