少女が大切にしていた金髪の人形。
少女にとってはとても大切なものだったのですが、戦争中に大人たちはその人形を疎ましく思ったのです。
金髪だというだけで、敵国の人形だと思ってしまった人々。
実はドイツ人形だったのですが、日本人には同盟国と敵国の区別もなく、自分たち以外は敵国だと思っていたに違いありません。
そして、残念ながら島国という日本の特性なのか、いまだに日本人、外国人の差別化の構造が深く根付いていると思います。
なにか、日本の国民性の悲しさを感じさせるお話です。
人形は赤い靴を履いていました。
横浜港の異人さんにつれられていった人形とは別の話でした。
モノクロの挿絵の中のただ一枚。
人形が焼かれるシーンの赤は印象的。
人形が焼かれていく時の表情は苦悩していて、人間と変わりありません。
山中さんの体験に基づいているのでしょうか。
モデルがいるのでしょうか。
現実味をもった話しとして受け取りました。
山中恒さんの作品を読んできて、自分の知っていた山中さんと再会した感じになったお話です。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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