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安房直子の傑作童話を田中清代が絵童話にしました。
病気のおばあさんをなぐさめるためにおなべのゆきひらくんがはりきってリンゴの甘煮を作ります。 安房直子の傑作童話が田中清代さんの手で童話絵本に!
「ゆきひらをしっていますか」と、読者に語りかけるように始まるお話は、
うっとりするような「和」のファンタジー。
気持ちに沁み込んでくるような安房直子さんの文章に、
田中絹代さんの柔らかい絵が寄り添って
あぁ、日本語ってきれいだなぁ、日本人で良かったなぁ、と思ってしまいました。
「ゆきひら」とは、小さな茶色い陶器のお鍋(雪平鍋)のこと。
一人暮らしのおばあちゃんが熱で寝ていると、
古い家の台所から「ぼくは、おなべのゆきひらです。ちょっと、ここのとだなを、あけてください。」と元気な声が。
ゆきひらは何を作るでしょうか。
「ゆきひら ゆきひら ゆきのなか」
小さなお鍋の魔法のことばが印象的。
出来上がった「つめたいおかし」は、見開きいっぱいに描かれていて、
ため息が出るほど、きれいで、おいしそう。
読み終えて、すぐ巻末のレシピで作らされ(雪平鍋ではなく、小さなお鍋で作りました)、
息子達は冷めるのを待たずにたいらげました。
私が好きなのは、満たされて眠ったおばあさんが見た夢の場面。
挿絵の花のようにふわっと優しく、甘酸っぱくて、儚くて。
懐かしい、愛する人の記憶は
弱っているとき、自分自身を元気づける力をくれるのかもしれません。
このあたりは、大人の方がぐっとくるかもしれませんね。
コトコト煮込むゆきひらのように
じんわりじんわり沁みてくる素敵な作品。
小学生位のお子さん〜大人の方におすすめです。 (ランタナさん 40代・ママ 男の子8歳、男の子6歳)
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