「生まれてきてよかったんだ,と子どもにエールを送るのが児童文学」.自らの読書体験,挿絵の素晴らしさ,アニメと本との関わり,そして震災後の世界について──.アニメーション映画界のトップランナーとしてつねに発言を注目される著者が,お薦め岩波少年文庫50冊の紹介とともに,本への,子どもへの熱い思いを語る一冊.(カラー版)
非売品だった「岩波少年文庫の50冊」と、BSで放送された「ジブリの本棚」というインタビューを再構成されてできた本ということです。
私自身は、非売品だった豆本も入手しましたし、BSの番組も見たので、その時に読んだり見たりした記憶がよみがえってきました。
「三月十一日のあとに」というインタビューも掲載されていて、震災後の計画停電の恐れがある中、映画を作り続けた思いも語られています。
宮崎さんのインタビューを聞くたびに、この方の作品にかける思いや児童文学への造詣の深さを感じます。
「岩波少年文庫」は、時代に迎合することなく、子どもにおもねることなく、良質な本を私の子ども時代にも届けてくれていました。
現在では出版点数が多すぎることで、子どもの読書が軽めの読物へと移行しているのが残念です。
この本は、子どもの本が好きな大人に向けて語られていますが、大人がまず子どもの本の良さを知り、こんな本があるよと勧めてほしいし、私自身も大人に向けて、子どもに向けて本の良さを勧めていけたらとお思いました。
子どもの時に良質な物語に出会うことが、心の中核を作るとしたら、本選びはおろそかにできないものだと思うのです。
この本で紹介されているものは、絶版のものもありますが、この豆本がきっかけで復刊されたものもあります。
岩波少年文庫のすべてを私も読みつくしたわけではありませんが、子どもと一緒に読んでいけたらと思いました。
宮崎駿さんの世界が好きな方にもお勧めです。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子9歳)
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