交通事故で両親をなくしたカレは、67才になるおばあちゃんとの生活の中で成長していく。世代を越えて結びあう信頼を描く。
両親が交通事故で亡くなって、貧しい一人暮らしの祖母に引き取られた少年カレの物語。
哀しいシチュエーションなのに、茶目っ気たっぷりのおばあちゃんとの生活はユーモアたっぷりで面白おかしいのです。
親族なのに、孤児年金をもらうために里親登録をしようと役所とかけあうおばあちゃん。
貧しいながらも負けん気でカレを子どものように愛するおばあちゃん。
息子であるカレの父をよく言いながら、母親である嫁の育てたには愚痴をこぼすおばあちゃん。
どんなに頑張っても、母親にはなれないことも知っているおばあちゃん。
面白おかしい物語の合間に組み込まれるおばあちゃんのモノローグは、自分の彼に対する愛情と自分の老いに対する不安でした。
自分はいずれ死ぬだろう。
そしてカレは施設に入れられてしまう。
カレが自立するまでとおばあちゃんは頑張るのです。
世代の違うことでの感覚の違いはあるけれど、これほど前向きなおばあちゃんはきっと長生きしますよね。
ヘルトリングは作品毎に、新しい切り口で家族愛を書き連ねています。
本は少し古いけれど、書かれていることは決して昔のことではないと思います。
深刻なお話ではないだけに、おばあちゃんとカレが痛々しくも思えました。
(ヒラP21さん 50代・パパ )
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