「あ、なんか怖い。でも目が離せない・・・。」 この絵本を一言で表現してしまうとこんな感じでしょうか。最初は躊躇しながらも、そこに広がっている夜の世界の魅力にあっという間に惹きこまれていく子どもたちの様子が目に浮かぶようです。
物語はこんなつぶやきから始まります。 「満月の夜がきた。さあ、出発しよう」 空には怪しく輝く満月。どこから来たのか、それぞれの家から子どもたちがそっと出てきます。その顔は月の光に照らされて少し青白く、その移動は大人が全く想像もつかない方法で、どこかの同じ方向に一直線に進んでいくのです。良い子はぐっすり寝ている時間、起きているのは僕らだけ。 その先にはいったい何が待っているのでしょう?
『大接近!妖怪図鑑』『ちょうつがい きいきい』などの奇妙で幻想的な絵で話題となっている軽部武宏さん。この『まんげつのこどもたち』では更にその美しさと独特な世界観に磨きがかかり、「夜の絵本」というジャンルの味わいを改めて意識させてくれるのです。 “怖さ”に敏感な子どもたち。でも真っ暗な闇の世界のワクワクは、昼の明るい時間のそれとはまたちょっと趣が違うということも察知してしまうのでしょうね。ひみつを共有している仲間というのもまた特別です。 「この子たちは普段どんな生活をしているのだろう」「どうしてクマやタヌキが一緒なんだろう」 そんな疑問に考えを巡らせるのは大人の楽しみ方なのでしょうか。でも、それもこの絵本に入り込んでしまっている証拠ですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
「満月の夜がきた。さぁ、出発しよう」 満月が妖しく輝く夜、家をそっと出て行くこどもたち。 その向かう先にはなにが待っているのでしょう? 闇の絵の名手、軽部武宏の新境地!奇妙で幻想的で美しい、夜の絵本の新たなスタンダードの登場です。
満月の夜は不思議なことが起こりそうです。
あちらこちらの子どもたちが目指すのはリンゴ(?)の木。
ファンタスティックな世界に言葉は不要ですね。
みんなでりんごを食べつくして、朝来た農家の人がぼうぜんとするところも、なんだか夢の跡のようで良かったです。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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