「いいかい、みんな、お話っていうのは空みたいなものなんだ。 ころころ変わって、聞く人をおどろかせて、好きなようにしてしまう。」 この絵本を読むときは、まずこの言葉を心に留めてからお話の世界に入ってくださいね。
舞台は森。森のすみっこに住んでいる少女ソフィアは、病気のおばあさんに届け物をするために、フードつきの赤いコートを着て深い森へと向かいます。この始まり、なんだか聞いたことがあります。 そう、誰もが思い浮かぶのは「赤ずきん」の物語でしょう。 ところが、絵を見ながら読み進めていくとそこに存在しているのは、にぎやかで、でも少し気味の悪い都会の街。これはどういうこと?そんな驚きをよそに、ソフィアは森の心臓“THE WOOD”へと誘われていきます。そこは、ほしいものがなんでもあり、色と騒音と誘惑にあふれた世界。ソフィアは誘惑を断ち切り、なんとか出口へと向かうのですが、そこがどこなのかわからなくなってしまった。道に迷ってしまったのです!
いつのまにか、都会の森を舞台とした未体験の物語に入り込んでしまっている読者。向かっていく結末はわかっているはずなのに、じわじわくる恐怖感。あれ、これって自分が知っている「赤ずきん」よりも怖いかも?その先に待っている結末とは? 「いいかい、いつでも耳をすませていなくちゃいけないよ。」 「だれもいないように見える道にも、かならずだれかがいるということを忘れちゃいけない。」 昔話の核となっている教訓や恐怖はそのまま現代まで続いている、いつまでも変わらない感情だということを改めて感じずにはいられません。
緻密でリアル、それでいて幻想的なイラストが世界で人気の国際アンデルセン賞受賞画家ロベルト・インノチェンティ。彼が今作で描き出すのは、都会の森を舞台にした現代風のおとぎ話です。 語り継がれてきた数ある物語とおなじように、この絵本も一度読んだら忘れられそうにありません。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
お話は魔法だ。空みたいなもの。ころころ変わって、聞く人をおどろかせて、好きなようにしてしまう。病気のおばあさん、深い森、悪いオオカミ、フードつきの赤いコートをきた女の子。うっそうとした都会の森をぬけて、おばあさんの家へとむかうソフィアは、色と騒音あふれる、森の心臓へと誘われる。そこはなんでもある、魅惑的な世界。まるで、嵐の日の空もようみたいなソフィアのお話の結末は……。
病気のおばあさん、深い森、悪いオオカミ、フードつきの赤いコートを着た女の子―。うっそうとした都会の森をぬけて、おばあさんの家へとむかあソフィアは、色と騒音にあふれる、森の心臓“THE WOOD”へと誘われる。そこはほしいものがなんでもある、魅惑的な世界。まるで、嵐の日の空もようみたいなソフィアのお話の結末は…。おなじみのおとぎ話を、国際アンデルセン賞画家賞受賞作家であるロベルト・インノチェンティが、都会の森を舞台に、緻密でリアルなイラストレーションで現代風に描く。
フードつきの赤いコートをきた女の子ソフィアは、病気のおばあさんの家へ向かうため、色と騒音あふれる魅惑的な都会の森へと踏み込みます。そこに待ち受けているのは・・・現代版「赤ずきん」の物語。
たぶん、ベースにあるのは「赤ずきん」です。
そこから、とても今どきの(この絵から受ける印象は)ニューヨークあたりの大都市の裏町が舞台になっています。
だから、グリムの「赤ずきん」よりずっとリアルで、ゾッとする怖さがありました。
主軸の物語も怖いですが、この物語を語っている小さなおおばあさんと、その部屋もよく見るとめちゃくちゃ不気味です。
邦訳は金原瑞人さんなので、日本語の言葉としてはとても読みやすかったです。
絵本作品としてのレベルはとても高いものだと思いますが、日本人には絵柄的にちょっと敬遠されるかもしれません。
アメリカの映画やアニメが好きなお子さんには喜ばれるかもしれません。
ただ、ひとりの親として、出来たらこの作品は子どもたちにはあまり触れてほしくないです。
善悪をある程度見極める力が付き、世の中の理を感じることができるような年齢以上の方になら、芸術作品としてお勧めできます。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子17歳、女の子13歳)
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