巨人兵士ゴリアテを石投げ器で対峙した羊飼いの少年・ダビデは、 旧約聖書に登場する英雄です。
イタリアにある小さな都市国家フィレンツェの人々は、 周りを大国に囲まれた自らの国を、巨人と対峙するダビデになぞらえて、 巨大なダビデ像の制作を彫刻家に依頼します。 しかし、どの彫刻家も途中で投げ出してしまい (なんとあのレオナルド・ダ・ヴィンチまでも!)、 ダビデ像になるはずの石の「巨人」は40年以上広場に放置されていました。
そんな街の人々からも敬遠されていた、「石の巨人」の制作を依頼されたのは、 当時すでにローマで活躍していた、若き彫刻家ミケランジェロでした。 元々、フィレンツェ出身で、石の巨人も小さいころから身近にあったミケランジェロは ダビデ像の制作に取りかかることとなりました。 5メートル以上ある石の巨人に囲いを付け、 周りから見えないように作業を進めるミケランジェロ。 彼が作り上げた、ダビデ像の今までに見たことのない姿に街の人々は…。
「巨人」と呼ばれ、フィレンツェの人々から疎まれていた巨石が ミケランジェロの最高傑作と呼ばれるダビデ像として生まれ変わるまでの物語を じっくりと丁寧に描き上げた作品です。 当時のフィレンツェの街並みや、人々の服装など、 細かいところまで忠実にこだわり、表現されたページは、 まるで一編のドキュメントを見ているよう。 おはなしの中にぐいぐいと引き込まれていきます。
少し長いおはなしが読めるようになった、小学校中学年以上にオススメです。
(木村春子 絵本ナビライター)
40年近くの間、フィレンツェの街のまん中に置かれたままされていた巨大な石。「巨人」とあだ名のついたこの石は、旧約聖書の英雄ダビデの像を彫るためにはるばる運ばれたものだった。幾人もの彫刻家が、途中で彫るのをあきらめた「巨人」に、たったひとりでたたかいを挑んだ彫刻家。若き日のミケランジェロがダビデ像を誕生させるまでの物語を史実にもとづき色彩豊かなにつづった絵本。
私はミケランジェロが大好きです。私は初めてミケランジェロのダビデ像を観た時の衝撃を決して忘れることができません。だからこの本はひじょうに興味深く読ませて頂きました。これはとてもわかりやすく、ダビデ像の秘密を教えてくれます。この本はダビデ像を作るまでのお話が書かれていますが、私はダビデ像は奇跡だと思います。ダビデ像は素晴らしいの一言に尽きます! (水口栄一さん 60代・その他の方 )
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