毎月読みたい、季節にぴったりの童話たち――シリーズ「おはなし12か月」
現代を代表する一流童話作家の書きおろし。 物語の楽しさを味わいながら、日本の豊かな季節感にふれることができます。 上質なイラストもたっぷり。低学年から、ひとりで読めます。 巻末の「まめちしき」で、行事の背景についての知識が高まります。
それは節分の夜のことです。 空にはまあるいお月さまがのぼり、朝からふりつづいた雪のせいで、地面は白いきぬをはったようになめらかでした。 豆まきの声もやみ、町はもう、ねしずまっています。雪につつまれたしずかな町を、青白い月の光が、ゆめのようにかがやかせていました。 「鬼ごっこするもん、この指とまれ。鬼ごっこするもん、よっといで。」 どこかで、だれかが歌っています。ケイタは、ゆめの中で、その歌を聞いて目がさめました。 ――<本文冒頭より>
節分の夜、呼びかけに引きよせられて指にとまったケイタは、「鬼ごっこ」をするはめに。 ちょっとふしぎで、すごくたのしい、とっておきの節分のおはなし!
「おはなし12か月」シリーズの本のなかで、私はこのお話が一番気に入っています。節分の捉え方が新しく、けれども、「そうだよね、節分がどのように設定されるのかを考えれば妥当だもんね」という内容で、とても興味深かったです。ストーリー自体もとても良かったと思います。 (さくらっこママさん 30代・ママ 女の子7歳、男の子5歳)
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