アリの気持ちと行動を、最初から最後までアリの目線で描いた珍しい作品です。
いつものオールズバーグの絵とは少し違って、写真のようではなく、ちょっとロボット的な絵になっています。
女王アリの為に、人間の家の台所へ砂糖を取りに行くアリたち。その中で小さな2匹のアリは、砂糖壷の中に残ろうとしますが、スプーンですくい上げられてしまい、コーヒーの中に落ちたり、トースターの中で焼かれそうになったり、台所中を大旅行します。
アリの視点で描かれるので、コーヒーやパンや蛇口から流れる水などが、大迫力で迫ってきます。
ただ、アリの目からの描写なので、「コーヒー」「パン」などの名詞は出てきません。「沸きたつ茶色の池」「ぽつぽつと穴のあいた巨大な円盤」などと表現されているので、時々何のことを言っているのかわからないことがあります。子ども達に読んだ場合、「なんのこと?」といちいち説明を求められるかもしれません。
私にも、生ごみ処理器のことを言っているのか、今ひとつよくわからないところがひとつありました。
このあたりがもっとはっきりすると、さらに楽しめると思います。