この作品は、スーザン・バーレイが、美術学校の卒業制作としてつくっていたもの。
原題は、「BADGER’S PARTING GIFT」
身近な人を失ったときにどう対峙していくかを、正面から捉えた作品で、非常に評価の高い作品です。
物語は、森のみんなに愛されていたアナグマが、死んでしまうところかた始まります。
死を、長いトンネルを超えてという描写をしています。
森のみんなは、悲しみに打ちひしがれているのですが、次第にアナグマの思いでを語り合うようになります。
すると、みんなアナグマが宝物となるような知恵や工夫を残していたことに気づき、その残してくれた豊かさで、みんなの悲しみも消えてしまうのです。
肉体は滅んでしまっても、心は永遠に残っていくということを、かなりわかり易く描いています。
このテーマで絵本を見事に完成したスーザン・バーレイに力量には、感嘆せざるをえません。
とは言え、小さな子供向きの絵本ではなく、大人でも十分に考えさせられる絵本だと思います。
小川仁央さんの訳が、絶妙なのも高評価の一因でしょう。