【あらすじ】
きゅうりさんが、川のそばをお散歩していたら、靴が片方流れてきた。
これをお舟だと思ったきゅうりさんは、勝手に乗り込み、川下りを楽しむことに。
途中、とまとさんとたまごさんがやってきて…
赤ちゃん向けの、楽しい絵本。繰り返される擬音語のリズムが軽快。
全国学校図書館協議会選定 第28回「よい絵本」
【感想】
赤ちゃん向けの「よい絵本」は、どういう感じなのか興味があって読んでみた。
きゅうりさん、といっても、よくあるようなキャラクター化されている感じはなくて、
そのまま八百屋で売っているきゅうりをもってきただけの、きゅうりさん。
トマトさんも、たまごさんも、素材そのままで、本物感あふれる。
キャラクター化して、目鼻がついていないので、どこを見ているかわからない。それが、シュールで、想像力をかきたて、前衛芸術のような印象すら持った。
本気です。
可愛くキャラクター化していない事が、かえって、この作者の本気ぶりが伝わってきました。赤ちゃんや子どものご機嫌取りではなく、幼児によいものを与えようという真心が伝わってくるようです。
キャラクター化してしまうと、好みの流行があるから、古くなってしまう。敢てきゅうりはきゅうりのまんまだから、時代が流れても大丈夫。(古くなった絵柄には、レトロな魅力や懐古主義的な楽しみ方もあるが…)
話の流れが、妙な感じで、どこにたどり着くのかわからず、断片的な記憶を切り取ったような、意外さがある。
どう見ても、自分には前衛芸術のように感じられました。おどろきの絵本。