秋の終わり、ゴリラのパンやさんが小さな店を開きました。
でも、お客さんはみんな、ゴリラの大声や、大きな歯に驚いて、何も買わずに逃げていってしまいます。
さあ、どうする、と前向きに取り組むゴリラさん。とっても楽しいアイデアを思いつきます。ところが翌日、今度は、いばりんぼうのキツネがやってきて、自分が先に買う、といって並んでいたうさぎの子供たちをけちらしてしまいます。怒ったゴリラさんは、「こらあ!」と大声で怒鳴ってしまうのですが、ゴリラの本当の優しさを知ったうさぎの子供たちは、怖がって逃げ出したりしません。そして口々に言うのです。「ゴリラのおじさん、チョコパンをちょうだい」、「ぼく、アンパンとドーナッツ」「わたし、クリームパン」。
人間の世界でもありそうなお話だな、と思いました。そして、自分にあてはめて自問自答してしまいました。私自身、怖そうな外見の人を、何となく避けていないか、誰かが間違った行動をした時に見て見ぬふりをしていないか。
そして、子供たちには、明るくて前向きなゴリラのパンやさんのように、何かのきっかけで人からあらぬ誤解をかけられた時にも、それを乗り越えて自分をわかってもらうための努力ができる強い人になってほしいと、この絵本を読んで思いました。