子どものころ、このおばあさんが怖かった。
物語後半のうしあらいどんとうまあらいどんのページも怖かった。
実家は山村にあり、竹やぶもそこらじゅうにあった。すずめのおやどがあるかもしれない…おばあさんがうちに来たら嫌だなぁ…。そう思いつつ、怖いもの見たさで読んでいた。
子ども心に、本気で怖かった1冊。
おばけや妖怪が出てくる絵本もたしかに怖かったけれど、このしたきりすずめが桁違いに怖かったのはなぜだろう。
主人に「でもさー、あのおばあさん着物がナス柄なんだよね〜。普通あんなの着ないよ」と言って見せると、「これは柿だろう。色がオレンジだ」と言われた。
私はずっとナスだと思っていたのだが、子どもというのは物語とは関係ないところまで案外見ているものなのだなぁと、まるで他人事のように感心してしまった。