
みなしごとなった男の子を育てあげた姨は、年をとって子どもたちに迷惑をかけられないと思ったとき・・・「更級伝説」による絵本。

この絵本に出会って、人の心には鬼も仏も住んでいるのだと感じ入りました。
両親を失った自分を、身を粉にして育て上げてくれた叔母を、疎ましく思う心も子は持ってしまうのです。
育ての親に対する恩と愛、そして巡り合った妻に対する愛。
妻は他人だから、やはり鬼にも娘にもなれるのです。
心のの隅に棲む鬼。
表紙に描かれた、姨を捨てに出かける男の顔は鬼になっています。
その怖さと、姑を疎ましく思う嫁の怖さ…。
このまま終わったらなら、絵本にならなかったのですね。
男の心に残っていた姨に対する気持ちが、物語の怖さから救い出してくれました。
この絵本、絶対読み聞かせに使いたいと思いました。
身の回りに転がっていそうな、人の心の裏表が描かれています。 (ヒラP21さん 50代・パパ )
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