
大阪府八尾市に存する顕証寺は、浄土真宗中興の祖・第八代蓮如上人建立の寺院で、蔵する「顕証寺本 蓮如上人四幅御絵伝」は、蓮如上人五百回遠忌を記念して制作され、平成二十六(二〇一四)年に完成した、日本、いや世界で一番大きい「絵伝」である。
本山から下付され、各寺院にある「親鸞聖人御絵伝」と異なり、「蓮如上人絵伝」は、蓮如上人と関係の深い三河や北陸などそれぞれの地方において制作され、全国で二百点あまり残っている。これらは絵相や形式などに決まった形式がなく、所蔵されている寺院の縁起などが盛り込まれていて、その地域や住民たちとの連帯感が伝わってくる絵伝となっている。「顕証寺本」も、平座の精神で親鸞聖人の教えを分かりやすく伝えられた蓮如上人のご一生と、顕証寺の建立やその寺内町の形成までが描かれた特色ある絵伝となっている。
本書は、「顕証寺本 蓮如上人御絵伝」の解説書であるが、宮絵師・安川如風氏によって完全なオリジナルとして新しく書き起こされた絵と、絵に対応する物語、コラム、絵解きを付し、さらに蓮如上人に関する読み物や年表、顕証寺と久宝寺寺内町に関する資料などを盛り込んだ、蓮如上人と顕証寺を知るための読み物として最適の一冊となっている。
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