小説家・早見和真氏(2016年より松山市在住)と、絵本作家・かのうかりん氏(今治市出身)という愛媛ゆかりの2人の作家による共作。「愛媛に生まれた人たちが全員知っている物語を生み出したい」と話す早見氏らの思いを受け、毎週土曜日の愛媛新聞で、全32回にわたって連載。書籍化にあたり、新たなイラストを加え物語も加筆・修正しています。
【あらすじ】
松山市・道後に住む家族の飼い猫“マル”。人間を観察しながら優雅に過ごしているが、メス猫“スリジエ”が家族に加わり生活は一変。ふてくされて、家出をして、愛媛各地を東へ、西へ。愛と悲しみの大冒険が始まる──!
捨て猫カフェから卒業し、一般家庭で暮らしたデブ猫のマル氏が、新入り猫とのトラブルの果てに家出。各地を旅しながら、夏目漱石ゆかりの場所を訪れ、大冒険するお話。
筆者は静岡県から愛媛県に家族で移住をした後、小説家として町に関わる方法を模索しているなか、家で飼っていた猫をみてこの作品のアイデアを思い付いた、という。(あとがきより)
愛媛県には漱石ゆかりの地もあり、いろいろと素敵な場所もたくさんある。マル氏と不思議な旅をしながら、読者は愛媛県の有名な場所や名物などを自然と教えられていく。
地元愛に満ち溢れた作品。
ごろごろしてどんどん太って、家の外には出たことがないデブ猫が、冒険をしながらどんどん成長していく物語。現代人の多くの人が共感できるような気がする。
ここから出て、外の世界を味わって、いろんなことを知ったり体験したい欲求が湧いてくる。しっかりした物語と、横に長い迫力のある画面。ゆっくり自宅で楽しみたい作品。
形は絵本だが、結構文章が多い「小説」。続編あり。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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