穴に指をいれて、ぷっくり〜ぽっこり! 新感覚のあかちゃん絵本!
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絵本紹介
2022.03.18
北の山に暮らすラビッタちゃん一家。冬じたくを終えた頃、ラビッタちゃんの家も雪と氷に閉ざされます。そんなある朝……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は『こおりのむこうに』。「ラビッタちゃんの絵本」シリーズの4作目です。いよいよ季節は冬。どんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
愛らしい北方の伝統的な衣装を着た、ラビッタちゃん一家の人気シリーズ、4作目。真冬のおはなしです。
雪にとじこめられたおうちの中で、あたたかく過ごしていた一家ですが、ある朝きょうだいの末っ子、ピントパットくんの様子がおかしいことに気づきます。ピントパットくんは、この夏に生まれたばかり。ラビットちゃんとピョコラッタちゃん姉妹の弟なのです。
ピントパットくんを病院に連れていくために、一家はあたたかい服を着て、リュックに食糧も詰めて、そりで出発! ……と思ったら、外は高く積もった雪で、道をつくるところからはじめなくてはなりません。お父さんがスコップを持って先頭に立ち、ラビッタちゃんたちも雪かきを手伝います。
さあ、急いで病院へ! 湖をとおり、滝の向こう側へ……。
家の中はあたたかいけれど、いざ外に出るためにはしっかりと準備をしなくてはなりません。
家族で力をあわせて外の世界をすすんでいく描写が見ごたえあり、毎回、幸せな気持ちになれるシリーズです。
そしてなんといっても今回のみどころは、凍った滝の入口を抜けた扉の先にあらわれた……病院と薬屋さん! 居心地よさそうな病院で、薬屋の隣にはパンやお菓子、洋服を売る小間物屋のようなお店も併設され、まさに冷たい世界のオアシスのよう。クラシックな電灯の飾りにもわくわくします。かわいい雑貨が好きな読者は、見のがせませんよ。
太陽でうすピンク色に染まる雪景色、日暮れた空、焚き火の影、そしてオーロラ! 繊細な色彩にため息が出そう……。氷につつまれた季節の美しさと、家族のぬくもりがつたわってくる絵本です。
冬の暮らしも魅力的に
シリーズ1作目では冬じたくのために町へおつかいにでるラビッタちゃんのお話。2作目ではお花に囲まれてピクニックをする春のお話。3作目ではすっかり夏になり、可愛い弟が生まれます。そして今作。氷に閉ざされた山の暮らしは厳しいばかりにも思えるのですが、シリーズを通して、肩を寄せあい自然とともにのびのびと暮らす家族の姿を見てきている読者にとっては、冬もまた魅力的な季節に思えるのです。家の中も、また病院やお店の様子も、そしてオーロラの輝く自然の景色も。どれも同じだけ愛情を注ぎ描かれる場面の数々。あたたかい布団の中でゆっくり味わってくださいね。
この書籍を作った人
1976年、兵庫県姫路市生まれ。武蔵野美術大学油絵学科卒業。学生時代はサイクリング部に所属し、自転車三昧の日々をおくる。卒業後「あとさき塾」にて絵本作りを学び、娘の成長をきっかけに本格的に創作をはじめる。絵本に『ゆきがふるまえに』『わかくさのおかで』『しおかぜにのって』『ふたつでひとつ』、さし絵に『ドリーム・アドベンチャー〜ピラミッドの迷宮へ〜』)、『ライオンつかいのフレディ』などがある。東京都在住。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。