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- ためしよみ
赤いとげとげウサギの子、あんなに「ようちえんにいきたくない」って言ってたのに。ある日……? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『にんじんようちえん』。韓国ではすでに大人気! どんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
「やあ!」
「とげとげウサギの子」が新しいようちえんで出会ったのは、クマせんせい。クマせんせいはとても大きい。声も大きい。力もつよすぎる。ようちえんは面白くない。ぼくはようちえんに行きたくない。
けれど……せんせいはぼくのつくった粘土のゾウをほめてくれた。にんじんキャンディもくれた! ぼくは、ようちえんが楽しい。せんせいとけっこんしたい!!
主人公の赤い「とげとげウサギの子」がとにかく可愛いこの作品、韓国の人気絵本作家アンニョル・タルさんによる大ヒット作品です。いつも不機嫌な顔をして、カリカリと怒ったり泣いたり大忙し。そんな彼が恋をしてしまうのが、たくましくて力の強いクマせんせい。その大きさの違いといったら……なんて魅力的な組み合わせなのでしょう。
と言っても、絵本の中で繰り広げられるのは、ごく普通のようちえんの日常生活。園庭で遊び、みんなでたいそうをし、「にんじんソング」(韓国の有名な童謡)をうたっておさんぽに行く。子どもたちはのびのび自由に動き回り、クマせんせいはいつでも彼らに目をくばる。その中で、とげとげウサギの子は、自分の感情を素直にまき散らしながら、少しずつ成長していくのです。
「せんせいとけっこんして、ずーっといっしょにあそぶんだあ!」
あらあら、先生も困っちゃいますよね。けれど、パパもママも慣れたもの。だってこの子ったら……。
どのページからもようちえんで遊ぶうさぎの子どもたちのにぎやかな声が聞こえてくるようで、何度読んでも飽きることはありません。日本ではひこ・田中さんの翻訳で登場です。日本でもあっという間にファンが増えてしまいそうですね。
自分に見える世界の中で
画面からはみ出るほど大きな「クマせんせい」、画面の隅のあちこちで好きなように動きまわる「ぼく」。クマとうさぎ、大人と子ども、にんじんとさかな。何もかもが全く違うふたりの世界。とても離れているようだけれど、うさぎの子は軽々と飛びこえていきます。自分に見える世界の中で、素直に懸命に毎日を過ごしている彼の姿を見ていると、気持ちが前向きになっていくようです。子どもたちの明るいパワーにあふれた1冊ですね。
この書籍を作った人
水が流れる風光明媚な山の中の学校で視覚デザインを、遠くの海辺の村の学校でイラストを学び、現在はイラストレーター、絵本作家として活躍している。おもな作品に『すいかのプール』(訳:斎藤真理子、岩波書店)、『おばあちゃんの夏休み(할머니의 여름휴가)』(第57回韓国出版文化賞)、『なぜっていうと(왜냐면…)』、『こんにちは(안녕)』、『ゆきのこども(눈아이)』などがある。
この書籍を作った人
1953年、大阪府生まれ。児童文学作家、評論家。長編作品に『お引越し』、『ごめん』、『なりたて中学生』(第57回日本児童文学者協会賞)。幼年童話に「レッツ」シリーズ。絵本に『ひっつきむし』、『へたなんよ』。評論に『大人のための児童文学講座』、『ふしぎなふしぎな子どもの物語〜なぜ成長を描かなくなったのか?〜』などがある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。