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- ためしよみ
絵本紹介
2022.06.15
ふたごのうみとりくは、そっくりだけど、ぜんぜんちがう。みんながそれぞれのからだを大切にするためにはどうしたらいい? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、絵本ではじめるポジティブな性教育「性とからだの絵本」シリーズより『うみとりくの からだのはなし』。どんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
うみとりくはふたご。ふたりはそっくり。そっくりだけど、全然ちがう。ふたごでも、りくのからだはりくのもの、うみのからだはうみのもの。同じからだの人なんてひとりもいない。
うみとりくは、ぎゅーっとするのが好き。だけど、いつもじゃない。その日の気分によって変わるのは、ふたりとも同じ。最初は楽しく遊んでいても、だんだん嫌な気持ちになる時だってある。家族や友だち、どんなに親しくても、好きなこと、嫌いなこと、感じることはみんなちがうよね。自分のからだに、誰がどんなふうにさわっていいかは、自分が決めること。それは、特別だいじなところ「プライベートパーツ」だって同じ。だから……。
子どもたちに性教育を伝える活動を続けられている、産婦人科医の遠見才希子さんが伝えてくれるのは、誰もがかけがえのない「自分だけのからだ」を持っているということ。からだに対して感じている「モヤモヤ」は、大人になってもみんな違うもの。だからこそ、家庭の中での「性教育」はとても難しく感じてしまうのです。この絵本では、その違いを認めあうところから始まり、デリケートな性の話にいたるまでを、とても丁寧にわかりやすく進めてくれます。
「いやだ」「やめて」って いっていいんだよ。
「いやだ」って いえなくても にげられなくても ぜんぜん わるくないんだよ。
選ばれた優しい言葉の一つ一つに込められているのは、切実な問題。そして、どれも本当のこと。だからこそ、読めばそのまま子どもたちに伝わるはずだと確信できるのです。
「子どもと同じ目線で いっしょに“性”について考えられる絵本を」という思うから生まれた「性とからだの絵本」シリーズ。シリーズ第1作目の『うみとりくの からだのはなし』では体の権利と同意、プライベートパーツについて。2作目『あかちゃんがうまれるまで』では、妊娠・出産、さらに性交と受精まで。3作目『おとなになるっていうこと』では、思春期に起こる心と体の変化と性の多様性がテーマになっています。年齢や成長に合わせて少しずつ読んでいってもらいたい3冊になっています。
絵本を通して理解を深めていければ
子どもたちにまず知ってもらいたいのは、「自分のからだを大切にすること」。シンプルなことのはずなのに、どうやって伝えたらいいのかわからない。悩んでしまう大人が多いのも当然です。きちんと教わってこなかったからです。だからこそ、絵本を通して親子で一緒に考えていく。一緒に成長をしていく。そうやって理解を深めていく中で、誰もが平等に持っている権利について、性について、さらにはその多様性についても考えがめぐらせられるようになっていければ。そういった意味で、この絵本の存在はとても重要なものだと感じています。
この書籍を作った人
1984年、神奈川県生まれ。2005年、大学入学後「もっと気軽に楽しくまじめに性を伝える場をつくりた」という想いから性教育活動を始め、全国1000か所以上の学校で講演会を行う。正しい知識だけでなくコミュニケーションを大切にした等身大のメッセージを伝えている。著書に『ひとりじゃない〜自分の心とからだを大切にするって?〜』(ディスカヴァー・トゥエンティワン )、『だいじ だいじ どーこだ?』(大泉書店)、「性とからだの絵本」シリーズ(童心社)。
※写真撮影・柳原久子
この書籍を作った人
1982年東京都に生まれる。イラストレーター・絵本作家。多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科卒業後、イラストレーターとして、書籍、雑誌、絵本などの仕事を中心に幅広く活動中。『からだ・あいうえお』(保育社)など。趣味は郷土玩具蒐集。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。