のりもの好きな子大集合!
絵本紹介
2024.09.18
子どもたちが生きものと触れ合う姿を見ると、うらやましく感じることがあります。動きを止めている昆虫に合わせてじっと観察したり、緊張気味の動物には静かにやさしく触れたり。初めて顔を合わせた生きものとは、見つめ合って目と目で挨拶をしているみたい。人間である自分と彼らとの間に境界線をつくらない、子ども時代限定の生きものたちとの向き合い方がきっとあるように思います。
絵本に登場する生きもののことも、子どもたちはきっと同じように見つめているのではないでしょうか。それはリスやウサギでも、カブトムシでも、恐竜であっても。
今回は、生きものたちが主人公のおはなし絵本を集めました。
迷子になった恐竜のひとりぼっちの不安や友だちができたときの嬉しさ、揺れ動く「きもち」を一緒に味わい考えてみる絵本。リスのタクシーが主人公の絵本は、その特徴を最大限活かした仕事ぶりに目を見張ってしまいます。「いいこってどんなこ?」もしわが子に聞かれたら……どんなふうに答えるでしょうか。
子どもたちの生きものへのまなざしは、私たち大人が長く忘れていた視点も思い出させてくれます。
この書籍を作った人
東京都生まれ。キャラクターデザイン、グリーティングカードのデザイナーを経てフリーのイラストレーターになる。絵本作品に、『ぴよちゃんのかくれんぼ』『ぴよちゃんとひまわり』『ピヨピヨだあれ?』などの「ぴよちゃん」シリーズ(学研)、『みどりのくまとあかいくま』シリーズ(ジャイブ)、『おやすみなさいのおと』『ころころパンダ』(講談社)他多数。その他、直販の保育絵本などでも活躍している。
この書籍を作った人
1983年生まれ。九州大学大学院修了後、電通入社。コピーライター/CMプランナーとして数多くの企業/商品ブランディングを担当。2013年に野生動物研究者の双子の姉と「まもろうPROJECT ユキヒョウ」を設立し生息地での保全活動を開始。その経験から2020年に「DENTSU生態系LAB」を立ち上げ、生態系保全を起点としたコミュニケーションを行っている。
この書籍を作った人
1979年生まれ。東京藝術大学大学院修了後、電通入社。デザイナー/アートディレクターとして多数の企業・商品の広告やブランディング、デザインに携わる。仕事の傍ら個人での作家活動も行い、イラストやデザインなどの作品も制作している。2020年から「DENTSU生態系LAB」に参加。
みどころ
うさぎのバニーぼうやがたずねます。
「ねえ、おかあさん、いいこって どんなこ?」
バニーの中から、たくさんの質問があふれてきます。絶対泣かない子がいい子なの? いい子って、強い子や怖がらない子のこと? 怒っているぼくなんて嫌い?それから……
おかあさんは、どの質問にも、一つ一つ丁寧にこたえます。泣いたっていいし、こわいものがない人なんていないし、怒っていても笑っていても、どんなバニーでも大好きだと。バニーはバニーらしくしているのが一番なのだとこたえるのです。
ぼうやとおかあさんの毎日は、もちろん色々なことがあるでしょう。いたずらをしたり、泣きわめいてたり、間違ったことをすることだって。おかあさんだって、怒ってしまったり、傷つけてしまうことだってあるのかもしれません。思うようにいかないものです。
だけど、いつだってまるごと受け止めてくれる人がいる。いつだって受け止めてあげたい気持ちがある。絵本を繰り返しよむことで、お互いのその気持ちが少しずつでも伝わるとしたら。それは、とっても大切で意味のある時間になるのだと思います。
「わたしたち みんなに」
この絵本の作者は、最初にそう言ってくれています。
この書籍を作った人
1953年生まれ。アメリカ アリゾナ州北部の山間部に住む。フリーライターとして活躍しながら6冊の子どもの本を出版。
この書籍を作った人
1947年生まれ。ジーン・モデジットは妻。風景画家として知られるが、絵本も12冊を出し、うち数冊が妻との共作。「はじめてのやさいスープ」(福武書店)などの作品がある。
文/竹原雅子
編集/木村春子