箱のなかにはいっているのは?!
- かわいい
- 盛り上がる
「おふろ、きらい!」「ポケットがぐちゃぐちゃ」「こまった こまった」。いったい誰が困っているの? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『こまった こまった』。動物たちの困りごとが次々に登場するこの絵本、どんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
「こまった こまった」
いったい誰が困っているのでしょう?
さかさまに寝るコウモリ、手が多すぎるタコとタコ、片付けが苦手なカンガルー。
「こまった こまった」
いったい何に困っているのでしょう?
おねしょが顔にかかる? 握手がこんがらがる? ポケットに入れたはずのカギが見つからない!?
出会ったのは、たこの紳士。当然握手のひとつでも……
あれあれ、大変! 手も足も多すぎる! どの手を握ればいいのやら、こんがらがって時間も過ぎるばかり!?
登場するのは、色々なことに困っている動物たち。足が多いむかでに、お風呂の嫌いなシマウマに……。誰かさんに似ている困りごとから、考えもつかなかった困りごとまで。確かに「それは困る」ことばかり。でも見れば思わず吹き出してしまうのは、それがあまりにも滑稽で、なさけなくて、愛らしいから。
「こまった こまった」の軽快なリズムと、繰り返されるとんでもない展開。作者は、翻訳家として数々の絵本を翻訳されてきたふしみみさをさんです。この可笑しさは、きっと世界共通! 山村浩二さんによる上品でユーモラスな絵によって、一度読んだら何度でも読み返したくなる味わいある一冊となりました。それにしても……彼らの「こまりがお」はクセになりそうです。
「こまった こまった」と言いながら
私たちの日常の中にも「こまった こまった」状況というのは、しょっちゅうあることでしょう。はたから見れば些細なことだったとしても、本人にとっては重大な出来事。ここに登場する動物たちの「こまった」だって、相当なものです。でも、なぜか彼らは軽やかに明るく見えます。それどころか、私たちを笑わせてくれるのです。それはきっと、困ったと言いながら、どこかでその状況を楽しんでいるからかもしれません。ああ、なんだか憧れちゃうなあ。
この書籍を作った人
1970年、埼玉県生まれ。フランス語、英語の児童書を翻訳しながら、ときどきエッセイも書く。主な翻訳に『トラの じゅうたんに なりたかったトラ』(岩波書店)、『どうぶつに ふくを きせては いけません』(朔北社)、『うんちっち』(あすなろ書房)、『わにの なみだは うそなき なみだ』、『ふるい せんろの かたすみで』(ともにロクリン社)など。海外作家との交流も多く、「日本の神話えほん」シリーズ(岩ア書店)では文を担当し、フランスの画家ポール・コックスと共同制作をした。登山と温泉が好き。
この書籍を作った人
1964年、愛知県生まれ。東京造形大学絵画科卒業。短編アニメーションを多彩な技法で制作。作品に『パクシ』『年をとった鰐』など。『頭山』がアカデミー賞短編アニメーション部門ノミネート、6つのグランプリ、『カフカ 田舎医者』が7つのグランプリなど、国際的な受賞は60を超える。絵本に『くだもの だもの』『おやおや、おやさい』(福音館書店)『あいうえおとaiueoがあいうえお』(小学館)など。東京都在住。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。