世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!
ぼくがここにいるとき。ほかのどんなものも、ここにいることはできない……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『ぼくは ここに』。没後10年を記念して刊行が続く「まど・みちおの絵本」シリーズの一冊であるこの絵本、どんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
もしここにいるならば、その一頭のゾウだけ、その一粒のマメだけしか、ここにいることはできない。
ああ、この地球の上では……
誰もが、こんなに大事に守られているのだ。
詩人まど・みちおさんの代表作の一つであるこの詩に向き合い、絵本として表現、完成させたのは絵本作家きたむらさとしさん。まるで「大きな謎解きのようだった」と語るその物語の始まりは、存在が消えてしまいそうなほど風景に溶けこみながら歩く「ぼく」の姿から。そこからやがて「だれか」に出会い、かけがえのない「みんな」と一緒に地球に存在し、さらに宇宙へとスケールを大きくしていく。
その深く美しい画面を眺めながら、ここにいる自分も、そこにある何かも、存在する全てのものが大切であり、いていいのだという安心感に包まれていくのです。
没後10年を記念して刊行が続く「まど・みちおの絵本」シリーズ。生きる喜びを伝えてくれるどの作品からも、しばらく目を離すことができません。
そこに「いること」こそが素晴らしい。
まどさんの詩の中には難しい言葉は出てきません。誰もが理解できるような、日常の中の「あたりまえのこと」を語ってくれます。けれど私たちは、この「あたりまえのこと」に驚き、心を動かされてしまうのです。絵本を通して読んでみれば、さらにその果てしないスケールの大きさとふところの深さを味わい、体験することができるのです。「宇宙が、静かにみんなを守ってくれている……。」そんな風に思える瞬間があれば、この先もきっと自分らしく歩いていけると思えるのです。
この書籍を作った人
1909年山口県に生まれる。詩人。25歳ごろから創作をはじめ、北原白秋に詩・童謡を学ぶ。戦後約10年間幼児雑誌の編集に携わったあと、詩作に専念。代表作に「ぞうさん」「おさるがふねをかきました」「やぎさん ゆうびん」「一ねんせいになったら」など多数。著書・『てんぷらぴりぴり』(大日本図書)、『まめつぶうた』『しゃっくりうた』『まど・みちお全詩集』『うめぼしリモコン』『ぞうのミミカキ』(理論書)『それから……』(童話屋)など多数。1994年、日本人初の「国際アンデルセン賞作家賞」を受賞。
この書籍を作った人
1956年 東京生まれ。1982年にイギリスで絵本作家としてデビューし、以来、イギリスを拠点に世界的に活躍を続ける。約10年前に帰国し、現在は神戸市に在住。絵本作家、イラストレーターとして活躍。デビュー作「ぼくはおこった」(評論社)でイギリスの新人絵本画家に与えられるマザーグース賞を受賞。「ぼく ネコになる」、「おんちのイゴール」などの著書の他、「ふつうに学校にいくふつうの日」(小峰書店)では絵本日本賞翻訳絵本賞を受賞。その他「ぞうのエルマー」シリーズの翻訳者としてもおなじみ。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。