シルエットから食べものをあててね!『おせち』が大好評の作者の最新刊!
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あのね、不思議なことがあるんだ。誰か物知りな人がいたら教えてくれないかな……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『空はみんなのもの』。巨星ロダーリと荒井良二による、時代と国境をこえた問いかけと祈り。どんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
「空って みんなの空だよね
だれの目にだって どこまでも ひろい空が うつるもの」
イタリアの国民的作家ジャンニ・ロダーリが約60年前に書いた詩を、イタリア語翻訳家の関口英子さんが訳し、絵本作家荒井良二さんが絵を描き下ろし、今この時代にひとつとなって完成した絵本。
子どもの素朴なつぶやきとして書かれている詩には、シンプルで軽快な言葉の中に「人は誰もが平等であるはずなのに、なぜ争いがなくならないのか」という普遍的な疑問が込められています。
引き込まれるほど美しく鮮やかな色彩で荒井さんが描くのは、広く抜けるような青空であり、そこかしこに存在する空であり、包み込むような優しい空であり、誰もが忘れられない輝く空であり。けれどその先にわずかに見え隠れするのは、地上での戦いの気配や境界線でもあり。子どもの祈るような、鋭く切実な視線がまっすぐと私たちの心に刺さります。
この問いかけに答えが出るまでは。いつまでも読み継がれていって欲しい、深く心に残る一冊です。
問いかけが素朴であればあるほど
時代も国境もこえてつながる空。さかいめだらけの地上。「どうして?」。その問いかけが素朴であればあるほど、その絵がのびやかであればあるほど、浮かびあがってくるのは世界が抱える問題の数々。だからこそこの絵本はあるのです。その現実を受け入れそうになった時にこそ、絵本を開き、くり返し問いつづけていくのです。
この書籍を作った人
1920年イタリア生まれ。イタリアを代表する児童文学作家であり、詩人。その作品は多くの言語に翻訳され、親しまれている。おもな邦訳作品として、『チポリーノの冒険』『うそつき王国とジェルソミーノ』『パパの電話を待ちながら』『緑の髪のパオリーノ』『クジオのさかな会計士』などがある。1970年国際アンデルセン賞を受賞。1980年没。
この書籍を作った人
イタリア文学翻訳家。『梨の子ペリーナ』(BL出版)、『マルコヴァルドさんの四季』『チポリーノの冒険』『13枚のピンぼけ写真』(以上、岩波書店)などの児童書をはじめ、多くのイタリアの物語を日本に紹介している。『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集』(光文社古典新訳文庫)で第一回須賀敦子翻訳賞受賞。
この書籍を作った人
1956年山形県生まれ 日本大学芸術学部芸術学科卒業。 イラストレーションでは1986年玄光社主催の第4回チョイスに入選。1990年に処女作「MELODY」を発表し、絵本を作り始める。1991年に、世界的な絵本の新人賞である「キーツ賞」に『ユックリとジョジョニ』を日本代表として出展。1997年に『うそつきのつき』で第46回小学館児童出版文化賞を受賞、1999年に『なぞなぞのたび』でボローニャ国際児童図書展特別賞を受賞、『森の絵本』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。90年代を代表する絵本作家といわれる。そのほか 絵本の作品に『はじまりはじまり』(ブロンズ新社)『スースーとネルネル』(偕成社)『そのつもり』(講談社)『ルフランルフラン』(プチグラパブリッシング)などがある。2005年には、スウェーデンの児童少年文学賞である「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」を、2006年に「スキマの国のポルタ」で文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。