たかいよしかずさんは、「くろくまくん」シリーズ(くもん出版)やミキハウスのしかけ絵本といった100冊以上の絵本、「怪談レストラン」シリーズ(童心社)の挿し絵・デザインなどを手がけ、“ハッピークリエーター”として、見た人が元気になるものづくりをモットーとする作家さんです。
そんなたかいさんが作った『ともだちのつくりかた』『すきなことのみつけかた』(共に、大日本図書)は、チャートやワークシートも活用しながら、子どもがゲームのように楽しみつつ「ともだち」や「すきなこと」について考えられる2冊。長年子どもたちに伝えたかったというメッセージを語ってくださいました。
- ともだちのつくりかた
- 作:たかい よしかず
- 出版社:大日本図書
どんな子と友だちになりたい? その子とどうやって友だちになったらいい…? 友だちづくりって、意外に難しい。でも、この絵本を読めば大丈夫! いろいろな子と友だちになれるようになるよ。「友だちはたからもの」そんなふうに思うようになるよ!
●ともだちって、どうやってつくるの?
───『ともだちのつくりかた』は入園・入学前の子どもと読みたくなる絵本ですよね。絵本ナビでも、入園前の子どもに3月に読んだというお母さんが「“友達になろう”と笑いかけると友達になれる、という方法を大発見みたいに聞いていてびっくり。不安がっていた入園前の時期にとてもいい絵本でした」と投稿されています。
友だちになりたいなと思う子がいたら、にこーっと笑いかけて「いっしょにあそぼう!」と言ってみたらいいんですよね。その子が「うん!」と言ってくれたらもう大丈夫だし、「いまはだめ」と言われたら、少し時間をおいてまた声をかけてみたらいい。当たり前のようなことですけど、子どもたちに絵本で伝えられたらいいなと思いました。
───友だち選びはまず自分を知ることから、という視点も、意外でした!
まわりには、いろんな子がいると思います。元気な子、動物好きな子、まじめな子、おもしろい子、自慢する子……。自分が「どんな子と友だちになりたいか」と考えてみてください。それってひっくりかえすと「自分はどんな子か。そして、どんな子から“友だちになりたい”と思ってもらえるか」を考えることでもあるんですよね。
───自分が好きな色は? 動物、食べ物、苦手なこと、得意なことは……? 「そっか、ぼくにはこんなところがあるのかぁ」と発見できそう。絵本には、例となる絵がいっぱいあって、見ているだけで楽しくなります!
人間関係の基本的なルールも、絵本の中でゲームのように楽しみながら学べるようになっているのがいいですよね。
人のことを知る前に、まず自分で自分のことを知るのは、大切なことだと思います。いい友だちをつくるには、自分が何が好きで、何がきらいなのかを知っておくこと。それに、友だちとけんかをしたり、ぶつかっちゃったら「ごめんなさい」だし、仲間に入れてもらってうれしかったり、何か貸してもらったら「ありがとう」だよねと、人間同士の思いやりやルールについても書いています。
ちなみに、おじいちゃん世代の方が『ともだちのつくりかた』をお孫さんと読んだときに、ふだんお孫さんがどんなものが好きで興味があるのかわからなかったけど、一緒に読んだらわかったという感想も頂いて、嬉しかったです。
ぼくは小学生の頃、背が低くて、ずっと背の順ではいちばん前だったんですよ。名字が「たかい」だから、「ひくい」というあだ名でからかわれました(笑)。友だち同士のことだから、そんなに気にしなかったけれど、やっぱり、ちょっといやな思いもありました。だからこそ人に同じようなことをしちゃいけないと思った。でもからかっていた子たちとも、今でもみんなで集まったりして、いいつきあいがあります。自分の素の面でつきあえる友だちができたら、大人になっても、いつまでもつきあえます。友だちは一生のたからものですよ。
- すきなことのみつけかた
- 作:たかい よしかず
- 出版社:大日本図書
「勉強って、しなきゃダメ?」「好きじゃない…」「やれって、言われるから…」 うん、わかる! 勉強って、なんだか、楽しくないような気がするよね。でも、本当にそうかな?おもしろくなる方法って、ないかな? そのヒントが、この本にはつまってるよ!
●「すきなこと」を見つけるために、考えてみよう
───『ともだちのつくりかた』のあと、『すきなことのみつけかた』が出版されましたね。
「べんきょうってなんのためにするのか、かんがえたことある?」「あんまりすきじゃない」「おとなになったとき、ほんとうにやくにたつのかな?」……。わが家の小学4年生の娘もとても共感していました(笑)。
ぼくも、勉強がきらいだったんですよ。「べんきょうしなさい!」ばっかり言われて、押しつけられるのはイヤだったけど、興味のあることにたいしては自分から動く子だったんですよね。
本当は『ともだちのつくりかた』のあと、「夢のかなえかた」をテーマにして作品を描こうと思っていたんですよ。でもやっぱり「夢のかなえかた」の前に、「ものを考えるということ」を伝えなくちゃと思って作ったのが『すきなことのみつけかた』です。
自分からすすんでやりたいことや、興味があることを見つけて、学んで、突き詰めていけば、もしかしたらそれを仕事にできるかもしれない。ぼくは「『すきなこと』を仕事にできることほど、幸せなことはないな」と思っているんです。子どもたちのために、興味があることを見つけて深めていくときの考え方を、バラバラに分解して具体的に示してあげたいなと思いました。
───たかいよしかずさんが興味があったこと、好きなことは何だったのですか?
ぼくが子どものときに好きだったのは、怪獣と、昆虫。テレビや漫画を見たり、虫とりばっかりしてましたよ。あとはUFOとか、ツチノコとか、ネッシーとか……。未確認生物(UMA)ですね(笑)。謎の生き物にわくわくして夢中になっていました。
このページはね、自分が子どものときにどんなことをおもしろいと思ってたんかなあ、何が好きだったかなあといろいろ考えながら作ったんですよ。ぼくが生まれ育った堺市には、仁徳天皇陵古墳があるので、「埴輪は外したらあかんよなあ」と思って描きました(笑)。家の近所の小山から粘土を掘ってきて、埴輪を作ろうとしたこともあるんですよ(笑)。
───粘土を掘って(笑)。やっぱり、自分でやってみたいと思ったことを、いろいろやってみることが大事なんでしょうね。
ぼくは幼稚園の頃から絵を描くのが好きで、絵を描く人になりたかったけど、知らないことはうまく描けないんだと、あるときに気づくんですよ。たとえば何かを描きたいと思ったとき、「ちしき」があったらもっとうまく描けるかもしれない、と。
───「ちしき」ですか?
「ちしき」っていうのは、学ぶことから身につくこと。たとえば昆虫をうまく描きたかったらどうすればいいか。本物を観察したり、図鑑でしらべたりすればいい。じゃあライオンを描くために、ライオンを見たいと思ったらどこへ行けばいいのか。動物園? アフリカ? どうやったら行けるのか、お金や時間がどれくらいかかるのか。
「かんがえる」のページでは、「なんでかな? どうして?」という「こうきしん」をもって、「そうぞう」して頭のなかで思い描いて「くふう」してみたら、あたらしいものがうまれた! ということを、「こうきしんくん」「そうぞうくん」「くふうくん」などのキャラクターを使って描いています。