遠い宇宙の星からはるばる地球へやってきた訪問者。緑色の肌の人型宇宙人で、高い文明を持っています。 けれども、彼らはこの星で予想もつかない災難に見舞われるのです。 そこには残念な原因が2つありました。 1つは、彼らの体がとてもとても小さくて、地球のアリと同じくらいのサイズだったこと。 2つ目は、彼らの小さな宇宙船が降り立った場所が、飼い猫「ミスターワッフル」の住む家だったということ! 暇を持て余していたミスターワッフルにとって、宇宙船は、格好の遊び道具でしかなかったのです。
猫って、誰かの思う通りには動いてくれない気ままな生き物です。せっかく買ってきた猫用のおもちゃには目もくれず、包み紙のほうで遊びだして主人をガッカリさせたかと思えば、次の瞬間には虫を追いかけていたり。 この絵本の中の黒猫ミスターワッフルも典型的なマイペース猫。 人間からするとそんなところも愛くるしいのですが、宇宙人たちからは、動きの読めないさぞ恐ろしい怪獣に見えたことでしょう。 知恵を絞って計画を練り、地球の小さな協力者を得たりして、なんとか猫から逃れようと奮闘する宇宙人たちの姿が可笑しいやら気の毒やら。
作者は、『かようびのよる』(徳間書店)、『漂流物』(BL出版)のディヴィッド・ウィーズナー。他のウィーズナー作品と同じく、この絵本も文章はほとんどありません。物語の展開は、コマ割りになった絵をじっくり眺めて、想像をふくらませてくださいね。短編の映画を観るように、いつのまにか物語に夢中になってしまうでしょう。 そして何より、目を奪われるのは、ウィーズナーの描く「猫」。寝そべる姿、じゃれつく姿、しっぽの動き、くるくる変わる表情・・・。絵本の中のミスター ワッフルは、目の前で見ているような、リアルな「猫」そのもの! コルデコット・オナー賞に輝いた美しい絵本。猫好きさんへのギフトにもおすすめです。 カバーには、モデルになったウィーズナー家の愛猫の写真も載っています。ミスターワッフルと見比べてみてくださいね。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
ねこのワッフルはすっかり退屈しています。飼い主が買ってくるおもちゃにも飽きて値札がついたままほったらかし。そこにまぎれるように小さな宇宙船がありました。それはどこか遠くからやってきて、たった今地上におりたったところ。中では、宇宙人たちが無事着陸したことを喜んでいます。その小さな宇宙船に気づかず、通り過ぎたように見えたワッフルでしたが……。過去3度もコールデコット賞を受賞したウィーズナー。3度の受賞はアンソニー・ブラウンと並んで受賞者最多です。この作品も2014年のコールデコット賞オナーブックに選ばれました。
ネコっていったい何を見ているのだろう。
じっとして何かを直視しているとき、人間には解らない物を見つめているのでしょうね。
ネコの視点から眺めるとアリやムシたちも大きく見えて、こんな風に見えるのかもしれません。
その中にインベーダーみたいなのが加わっても、人間さまには解りません。
この発想と表現は、考えるととても楽しくなりました。
飼い主が準備したオモチャに関心を示さないのも、ネコさまのプライドなのでしょうか。
表紙のネコのふてぶてしさとモデルとなったネコの写真に、親しみを感じました。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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