大山氏は、24歳のときに富士山のとりこになり、それから30年以上、来る日も来る日も富士山と向き合い続け、周辺の山々や樹海、湖を歩きまわり、富士山との対話を続けています。 1990年には、富士山が大きく見える場所に、自らの手でドーム型の家を建築。妻と富士山と共に暮らしつつ、自作の大型カメラで撮影を続けています。 2013年に世界文化遺産に登録された富士山。日本の象徴ともいえるこの神秘的な山を、圧倒的なビジュアルと作家自身のまっすぐな言葉で紹介します。 誰もが知っているけれど、誰も知らない富士山がここにいます。是非子どもたちに見て、感じて欲しい、自然に対する愛情と畏敬の念に溢れた一冊です。
富士山を見て、嫌な気分になる人はいないだろう。
多くの人は富士山を見たら、思わずニッコリするのではないか。
私など今でも新幹線に乗れば、富士山を見ようと横浜を過ぎればソワソワしている。万一、見損なえば、一日損した気分になる。
朝起きて、ベランダから富士山が見えると、なんといい景色だろうとつい柏手をうつ。
ちなみに私は埼玉に住んでいるが、富士山はそこからでも見える。
そういう気分をもたらせてくれるのが、富士山だ。
この絵本は写真絵本で、写真家の大山行男さんが撮ったさまざまな富士山で出来あがっている。
童謡のように、「頭を雲の上に出し」ている富士山もあれば、おなじみ赤富士ももちろんある。
くらげの大群のような雲と富士山。
かみなりと富士山。
月と富士山。
そう見ていくと、富士山は富士山単独でも美しいが、何かと組み合わさるとまったく別の世界を浮かびあがらせていることに気づく。
それは富士山が単独でどうとか、富士山と合奏するものがどうとかではなく、共存している世界が私たちに全く新しい世界を見せてくれるということだ。
さらにいえば、そんな世界を見ている私たちがいる。
この絵本でいえば、まさに大山さんのカメラがそんな存在で、例えば富士山と月、そして大山さんのカメラが一体となって、世界を生み出しているといっていい。
そして、私たち読者はこの絵本を読むことで、さらに広がった世界を共有するのだ。
そんな世界が生まれるのも、富士山があってこそのような気がする。 (夏の雨さん 60代・パパ )
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