おはなしが持つ力を大事に、絵本づくりをしていこうという出版社の思いでスタートした「おはなしえほん」シリーズ。 一冊目は、『ちいちゃんのかげおくり』や「車のいろは空のいろ」シリーズなどで子どもの心に生き生きと残る童話を書いてきた、あまんきみこさんの作です。
いきなり降り出した雨のなか、ともこが走ってうちに帰っていると、ふいに雨の降らないふしぎな空間に迷い込みました。 どこからか、お祭りのかけ声のような、大勢のひとの声が聞こえてきます。 「きつねみち」 「どっこい!」 「てんのみち」 「やんこら!」 「がんばれ」 「それな」 見ると、ほんとうのきつねが、青い大きなすべりだいを御神輿のように運んでいるのでした。 ともこは、ちいさなきつねに「そこのきょうだい!」「ここをもちなよ」と言われて思わずいっしょにすべりだいを運びます。 すると、緑の林を通り過ぎた、その先に見えてきたのは……?
松成真理子さんの水分をたっぷりふくんだ筆で描いたようなやわらかな色の絵が、あまんきみこさんのお話をひきたてます。 雨と、きつねと、青いすべりだい。そして緑の林と、きつねしょうがっこう。 ともこが迷い込んだ「きつねみち」にドキドキして、人間である正体がばれてしまってきつねはなんと言うかとドキドキして、子どもはおはなしにじっと耳をかたむけるにちがいありません。
いつのまにか、うすべに色の西の空。 夕暮れ前の「時間のすきま」が、みずみずしく描かれたおはなしです。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
夏のにわか雨の中、家へといそいでいたともこは、きゅうに雨のすきまのようなほそながーい道に出ます。 その道で「やんこら!」「どっこい!」というかけ声とともにであった出会ったのは、すべりだいを運んでいるきつねたち。 よろよろするきつねたちを見かねて、ともこがてつだってはこんでいくと、ついたのは「きつね小学校」でした。 そこで、ともこが人間だときつねたちに気づかれてしまい・・・。
少女の楽しくて不思議な時間を描いた、愛情あふれる作品。
ともこがにわか雨の中を走っていると、いきなり雨がやみました。雨に長いすきまができて、カーテンみたいになっているのです。ともこはそこで、すべり台をかついだきつねたちに会い…。少女の不思議な時間を描いた作品です。きつねたちのかけ声が耳に心地よく残ります。 (ぼんぬさん 40代・ママ 女の子3歳)
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