山の中で帰り道がわからなくなってしまった小熊がいました。 「こまったな、こまったな。」 そんな時、水をさがして困っているこりすさんに出会います。 小熊は、 「いっしょにさがそうよ。」と言って、自分の背中にこりすさんを乗せてあげました。
小熊とこりすは山の中で、次々に同じように「こまった、こまった。」と言っている動物たちに出会います。 その度に、小熊は優しく「ぼくのうえにのるといいよ」と声をかけます。
最後に出会った小鹿は、罠にかかり泣いていました。 こまった小鹿を助け出そうと、動物たちみんなで力を合わせて罠を外してやります。
すると、それぞれの抱えていた「こまったこと」がみるみると解決してゆき・・・・
自分が困っている時こそ、他の困っている仲間を助けようとする優しい気持ちが輪になって、みんなが幸せになれる絵本です。
80年代に平和を願って出版された、かこさんの名作絵本の新装版です。 かこさんがこの絵本を書かれた当時の時代背景を巻末で書いていらっしゃいますが、その時の切なる願いが今も尚変わらないことは、少しさみしいとおっしゃっています。 91歳になられた今も精力的に活躍されるかこさとしさんからの、現代の子供たちに向けた大切なメッセージです。
(福田亜紀子 元絵本編集者)
さまざまな「こまった」ことをかかえた動物たちが、みんなで助けあい、道を切り開いていきます。今に伝えたい、やさしさと希望に満ちたメッセージが心に響く、かこさとし80年代傑作絵本の新装版です!
こまったこぐまに、こまったこりす、こまったことりに、こまったみのむし…どんどん困った者が増えてきて困り事が解決しないまま連なって、みんなどうするんだろうと思っていたら、一つ糸口が見つかるとみんなで協力してみるみるうちに解決してすっかり元気になりました。
「こぐまたちの困難を乗り越える物語」と言葉にすれば容易いですが、自分も問題を抱えているのに他者の問題も一緒に抱え力を合わせて乗り越えるという、現実ではなかなかできない姿をかこさんは愛らしい絵とやさしい言葉で表してくれています。
内容もさることながら、この作品は耳で聞いて楽しめる絵本でもあると思うので、読み聞かせ会や親子の読み聞かせにぜひおすすめしたいです。 (mominさん 20代・その他の方 )
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