雪のふる寒い朝。道端に落ちていたのは、片方だけの赤い毛糸のてぶくろ。もう片方はどこへ行ってしまったのでしょう。
「すぐに もどってきてくれる」
しばらくじっとしていたのですが、雪が強くなってくれば埋もれてしまいます。赤いてぶくろは起き上がり、もう片方のてぶくろを探しにいくことにしました。もうすぐクリスマス。街は、両方揃ったてぶくろ達で賑わっています。あちらにも、こちらにも。みんな楽しそうに歩いています。昨日まで、自分たちはいつも一緒だったのに。赤いてぶくろは、だんだんと自分がちっぽけな存在に思えてくるのでした。その時、道に向こう側に自分と同じ様に赤いてぶくろが見え、あわてて追いかけるてぶくろでしたが……。
てぶくろは2つ揃っているもの。当たり前のことだけれど、思いがけずに片方になってしまうってこともあるのです。ひとりぼっちのてぶくろは、どうやってその事実を受け入れたらいいのでしょう。すっかり雪一面となった静かなその夜、彼に不思議なことが起こるのです。
大切な人を失った方へ届けたい。きっといつでも会えるから……。そんな作者の想いが静かに伝わってくるお話です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ある寒い朝、道ばたに落ちていた、赤い毛糸の手袋は、雪降る中、もう片方の手袋を探しにでます。街はにぎやかで、両方そろった手袋たちが楽しそうに歩いています。昨日まで、自分たちはずっといっしょで、そんな日々が続くと信じていたのに……。大切な人を失った人へ届けたい物語。
片方だけになってしまったあかいてぶくろのお話です。
もう一方の手袋を、必死に探すあかいてぶくろ。
でも見つけ出すことはできず…
予想外の展開に、ちょっとびっくりしました。
切ないお話ですが、新たなお話のスタートを予感させます。
こんなふうにリスタートしなければいけないことも、長い人生にはきっとあるのだろうなと感じます。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子16歳、女の子13歳、男の子11歳)
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